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文芸書

会社ごっこ

『会社ごっこ』 著:泉美木蘭

価格

1,540円
(本体1,400円+税)

判型

四六

ページ数

200ページ

ISBNコード

9784778311315

搬入年月日
[?]

2008.6.11
※各書店・ネット書店により、購入可能となる日は異なります。

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書籍の説明

会社の壊し方、教えます。

おしゃれな都会生活に憧れて、渋谷のベンチャー企業に就職した青山エリカ(24)。
粒揃いのバカに囲まれて、あれよあれよと地獄街道まっしぐら。
挙句の果てに、勢いあまってつい起業。
女社長と呼ばれる、かなりとんでもない日々が始まる――。
『hon-nin』連載時から話題沸騰の崖っぷち起業ストーリーが単行本になりました。
信じられないかもしれませんが、これは実話です。

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著者プロフィール

1977年、三重県津市生まれ。近畿大学文芸学部卒業。一児の母。2003年、激動エピソードを綴ったウェブサイトを開設し、話題を集め、作家活動に入る。当時のペンネームは「焼野原グリコ」。雑誌ライターとなったのを機に本名で活動していたところ、有名姓名判断師に「総画がサゲマン大凶数、エロ地獄に落ちて死ぬ」との指摘を受け、数十万円の出世払いで改名。その後、本著連載の決定、妊娠、結婚、出産となる。陣痛がはじまるまでペンを持ち、産後10日でゲラを手にするも編集部の都合で連載を飛ばされるなど、根性はあるが空気が読めず空回りに終わることの多い人生を送っている。
近著紹介・コラム等 http://onna-boo.com/

著者からのメッセージ

「会社が作れるんだから、このメンバーで本も作れますよね?」
 妙にニヤニヤしている編集者が、ここぞとばかりに差し出したのは「会社ごっこ 装丁案」というタイトルの提案書だった。そこには、装丁や装画の担当として、私のよく知る人物の名前が連ねられていた。
「にっ、『西嶋さん』に装丁を……!?」
「ええ。カバーのイラストは、当時、泉美さんの会社が契約していた『専属クリエイター』の女の子に描いていただこうと思います」
 全身の毛穴が開いて、じっとりと汗をかいた。
 この小説「会社ごっこ」は、上京したての田舎娘が、若気の至りで“完全無策”のデタラメ・クリエイター派遣会社を設立し、とにかく絵の上手な女の子を集めて専属契約、「私が社長よ!」と見栄を張り、そして、万人の予想をはるかに超えて見事に破滅していくまでをつぶさに綴ったものだ。で、その主人公、青山エリカというのは、言わずもがな、七年前の私、泉美木蘭・本人なのである。そう、編集部は、私にとって赤っ恥以外の何者でもないこの本のために、実在するデタラメ起業メンバーを再び集結させ、最後の仕上げをしようと企んだのだ。
 なんてこと。つーか、当時のメンバーなんて、過去につきあってた男並みに会いたくねー!
 私としては、なるべく避けて通りたい話だ。しかし、読み終えてもなお、奥付にネタが仕込まれているなんて……そんな本、あったら面白いじゃないの。
 早速、物語中、唯一“本物”のクリエイターである『西嶋』のモデルとなったデザイナー・長谷川洋介氏に事情を話し、快諾してもらった。だが、問題は当時契約していた女の子。さすがに、あんなことがあった以上(本編参照!)その後メール一通交わす勇気もなかったため、連絡先がわからない。すると、長谷川氏が、当時出会った女の子のひとりと、現在も交流を続けているというではないか。そうか、そうやって遠巻きに生暖かく私を眺めてくれていたのね!
 というわけで、私たち「会社ごっこ」メンバーは、再会を果たした。そして、もうこの際だから、思いっきり恥をさらして徹底的にエンターテインメントしてやろうということになり、私は、参考資料として当時の書類――定款、謄本、設立登記申請書など――すべてを長谷川氏に提供した。
 で、三週間後。仕上がったカバーを見て、卒倒しそうになった。
 ぜひ、お手に取ってよ~くご覧いただきたい。頭を抱え苦悩する女性、その背景に「定款」「負債」などの文字と重なってずらずらと並ぶ奇妙な数列がある。これ、実は、私が起業にあたって公庫から借り入れた大金の返済明細書、その現物なのである。毎月の返済のたびに、指を這わせマーカーで印をつけ、死ぬ思いで残金を数えた痕跡。それすらも、いい感じにデザイン化されている。ホア~ッ、怖いよッ、太田出版、怖いよ~ッ!
 でも、ここまでやって、よかった。細部に至るまでこんなにも面白く、そして、こんなにも親切な本はほかにないと自負している。なにが親切かって? そりゃあなた、独立精神旺盛に「ウチらもなんかやろう」なんて息巻いてる方々への“反面教師の書”としてですよ。
 これを読めば、とりあえず、痛い目に遭うご自分の姿を事前にシミュレーションすることができます!
 そんな感じで「会社ごっこ」、どうかお楽しみいただけましたら幸いです。
(泉美木蘭・本人)

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