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ノンフィクション・人文

借りの哲学(atプラス叢書06)

高野優(監訳) 小林重裕(訳) 國分功一郎(解説)

『借りの哲学(atプラス叢書06)』 著:ナタリー・サルトゥー=ラジュ

価格

1,760円
(本体1,600円+税)

判型

四六判仮フランス

ページ数

232ページ

ISBNコード

9784778313937

搬入年月日
[?]

2014.2.27
※各書店・ネット書店により、購入可能となる日は異なります。

書籍の説明

私たちの持っているもので、人から借りていないものがあるだろうか?

「借り」を軸に『聖書』『ヴェニスの商人』『贈与論』などのテクストを読みなおし、「借り」の積極的価値を考察する。資本主義再考の基本文献、待望の翻訳。

解説=國分功一郎
借りという概念への注目それ自体も興味深いものだが、より興味深いのは本書がこの概念を積極的な意味で評価しようと試みている点である。借りはしばしば否定的な意味で受け止められる。借りは人に返済の義務を負わせ、義務は人を縛る、と。しかし、借りこそはよりよい社会を作り上げるための基礎になるのではないか、というのが本書の問題提起にほかならない。(解説より)

目次

はじめに――《負債》から《借り》へ
借りたものを返せないと奴隷になる
《負債》と資本主義
《借り》と資本主義
《借り》の概念を復活させる
《借り》を肯定的に捉える
《贈与》と《借り》の関係
臓器提供の話
自分には《借り》があると思うことの効用

第1章 交換、贈与、借り
『ヴェニスの商人――人間関係が持つ複雑性』
《贈与》と《負債》が同一の軌跡をたどるとき
《本当の贈与》とは何か?
キリスト教における《負い目の論理》――ニーチェの考え
原始経済における《負債》の理論――モースとニーチェ
モースの『贈与論』
《贈与交換》を取り入れた社会
ニーチェの『道徳の系譜』
《贈与》と《交換》と《借り》の関係
家族における《貸し借り》を共同体が引き受ける
貨幣経済をもとにした資本主義――「《等価交換》―《負債》」のシステム
金融市場を通じた《負債》の増大
《借り》を大切にする社会
《借り》のシステムと政府の役割

第2章 《借り》から始まる人生
タラントのたとえ話
神から与えられた才能は世の中に返さなければならない
《借り》と支配
ブドウ園の労働者のたとえ
《生まれながらの借り》
《義務》は物質的な《負債》から生まれた――ニーチェの考え
物質的な《負債》は《義務》から生まれた――バンヴェニストの考え
負債の神学――マラムーの考え
同時代に生きている人々に対する《借り》
家族における《借り》
母と子の関係
ソロモン王の裁判
父と子の関係
サンタクロースの贈り物
家族における《貸し借り》の問題
《借り》と《罪悪感》
ナチスの罪と《罪悪感》
人間は罪を犯しやすい
《返すことのできない借り》――メランコリーと強迫神経症の場合
《象徴的な返済》と《想像的な返済》
《借り》と《責任》
レヴィナスにおける道徳的責任
《他者に対する責任》と《生まれながらの借り》のちがい
《借り》は《責任》の大きさを限定する
《借りの免除》――「赦し」の問題
どうしても赦すことのできない《罪》をどうするか?
「正義」と「赦し」――ニーチェの考え
「赦し」の実体――慈悲の心と感謝の気持ち
スピノザにおける感謝の気持ち
キリストの愛
現代における《借り》とその免除

第3章 《借り》を拒否する人々
ドン・ジュアン――《借り》を拒否する人生
《借り》を認めない
自分としか契約を結ばない男
肥大した自己愛
《借り》から逃走する
空虚な内面
個人主義と《借り》の否認
「革命」と「自由」の矛盾した関係
仮面の個人主義
《借り》から逃げることの悲劇
薬物嗜癖と《返すことのできない借り》
現代人と騎士の石像
ドン・ジュアンの末裔たち――自律した人間(セルフ・メイドマン)から機会主義者(オポルチュニスト)へ
自律した人間(セルフ・メイドマン)――《借り》を認めない人々
全能感という幻想
機会主義者(オポルチュニスト)――《借り》から逃走する人々
人間の部品化
逃走者の自由
人間は《借り》から逃げつづけることはできない

おわりに――《借り》の復権
《借り》の負の側面
《借り》の正の側面
《返さなくてもよい借り》
新しい自分を目指す

解説
借りに満ちた世界、そして……

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