県外不出 岩手県民の真のソウルフード「福田パン」とは?

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岩手県盛岡市といえば、わんこそば、冷麺、じゃじゃめんの”三大麺”が有名だが、その盛岡に早朝から客足の絶えないパンの名店があるという。地元出身者が「岩手県民のソウルフード」と語る老舗のパン屋さん『福田パン』を訪ねてみた。

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福田パンは、盛岡駅の近くにある1948年創業のお店。7時の開店とともに高校生たちがひっきりなしに訪れるこちらのお店では、カウンターで好きな物を選んでお店の人に声をかければ、切り込みを入れた大きなコッペパンにその場で具を挟んでもらえる。具の種類は全部で60種類以上。あんこ、クリーム、ジャムなどスイーツ系から、サラダ、パスタ、焼きそば、コロッケ、ツナ・タマゴサラダなどの惣菜類まで、なんとも幅広いラインナップが用意されている。

「最初はそんなに具の数はなかったけど、いろいろと試行錯誤しているうちに、どんどん種類が増えてしまった」と語るのは、福田パンの三代目である福田潔専務。60種類以上ある中身のなかでも一番人気のあんことバターを挟んだ「あんバタ」には、こんな”開発裏話”があるそうだ。

「あんことバターは当初、一緒にはしておらず、別々に売っていたんです。でも、僕の母親がうっかりふたつを一緒に塗ってしまったらしくて。捨てるのももったいないから思いきって食べたら、結構おいしい。思いきって店に出したら、いつのまにか人気ナンバー1になってたんですよ」

こちらの福田パンは、店舗自体は本店と工場にひとつずつしかないのだが、岩手県全域のスーパーや高校の購買、出張店舗などで販売されているため、知名度は抜群。岩手県の人に「福田パン」という名を告げると、「俺、あんバタ」「いや、ピーナッツバター」と論争が勃発するほど、岩手県民にはなじみが深い一品だが、福田専務は「これ以上は手が回らないし、福田パンは『岩手でしか食べられない』くらいがちょうどいいんですよね」と、他県に進出する予定はまったくないそうだ。

◆ケトル VOL.05(2月15日発売/太田出版)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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