勝率100%のじゃんけんロボット  開発の意図を開発者が解説

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じゃんけんの勝ち負けは時の運。ここ数年間の年中行事となりつつあるAKB48のじゃんけん総選挙を見ても、その事実は痛いほどによく分かるが、東京大学の石川・奥研究室は、なんと「勝率100%のじゃんけんロボット」を開発してしまった。ついに日本の科学技術は“運”や“勘”の領域にまで進出してしまったのか? 「最高に勘の良いロボットを発明? まさか、そんなわけないですよ」と笑いながら語る石川正俊教授に話を聞いてみた。

「僕らの研究室では、ふたつの大きな研究の柱があるんです。ひとつは『高速画像処理』。これは、カメラで撮影した画像を超高速で処理する機能です。そしてもうひとつが『高速ハンド』。これは、文字の通り、高速で動くロボットハンドですね。そして、これらを組み合わせると、あのじゃんけんロボットができるんですよ」

しくみとしては、まず、ロボットが超高速の画像処理を行ない、「人間がグー、チョキ、パーのうちの何を出したのか」を判断。そして、人間の目では感知できない速さでじゃんけんの手を作る。つまり、ロボットは人間の手の動きを察知してから出すべき手を決めているわけで、簡単に言えば「後出し」だが、ロボットが相手の手を認識してから手の形を作るまではわずか約0.02秒なので、後出しには見えないという。

そんな高性能じゃんけんロボットだが、石川教授によれば、ロボットは1日で完成し、翌日には解体してしまったとか。なぜそんなことを!?

「高速画像処理と高速ハンド。これらの技術をもってすれば、このロボット以上に実用性の高いロボットはいくらでも作れる。ただ、技術が特殊すぎて、一般の人に関心を持ってもらうことがありません。一方、じゃんけんロボットはわかりやすくて、一般ウケもいい。そこで、このロボットを通じて、『ロボットの技術はここまで進化している』『日本にはこういう技術がある』ということを知ってもらいたかったんです」

その狙い通り、YouTubeでの再生数はたった2週間で300万回を突破。石川教授は、「このじゃんけんロボットから派生して、この研究に興味を持ったり、応用法を考えたりする人が増えてくれたら嬉しいですね」と語っている。

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。