「若返り」を研究する京大准教授 クラゲを若返らせることに成功

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現在発売中の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして「学者」をピックアップ。「1万匹のダンゴムシ」「火星のレントゲン写真」「ヘビの“利き腕”」「好かれる匂い」など、興味深い研究に取り組んでいる学者と、その研究成果を紹介している。今回紹介するのは、「若返り」の研究に取り組んでいる京都大学の久保田信准教授。人類の究極にして永遠の夢「不老不死」は、果たして実現可能なのか!?

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もしも若返りができたなら──。そんな“もしも”の実現に最も近い研究をしていのが、京都大学瀬戸臨海実験所の久保田信准教授。1996年にイタリアの研究者が、ベニクラゲは死期が迫ると自ら肉体を退化させ、幼少期の「ポリプ」に若返ることを発見し、これに感銘を受けた久保田先生は、「人類の夢、不老不死のヒントが隠されているかも」と研究に没頭するように。2年間で1個体を10回も若返らせることに成功した。

「個人的な見解ですが、彼らは繁殖能力が低く、若返りは絶滅を防ぐためでは」と語る久保田先生。クラゲの体は95%が水分で、本来なら有性生殖後に死に、海水に溶けて消えるはずだが、ベニクラゲは体長4~10mm程と小さくて弱い生き物ゆえ、自然界で戦うことよりも若返りを選択したのだ。

「2か月で自然に若返りますが、針で100回くらい刺して痛めつけると(笑)、人工的に周期を早めることもできます。肉体が傷つくことで彼らは死期を感知して若返るんです」

そう話しながら、飼育ケースを取り出し、「彼女は8回若返ってる」「この子はまだ7回」と顕微鏡で見せてくれる先生。緊急入院した際にも、病院を抜けだしてクラゲの世話をしたという久保田先生だが、不老不死の夢は叶いそうですか?

「若返りの製薬化までには超えるべきハードルがまだたくさんあります。でも、もしも私が不死の体を手に入れられたら、永遠に研究を続けられるでしょう。研究者仲間と一緒に、生命の神秘を次々と解き明かしたいですね!」

そんな久保田先生が研究を行うのは、研究室だけではなく、毎晩1時間のカラオケが日課。「歌は研究と違う頭を使うので、体にいいですよ!」と語る先生は、歌好きが高じてベニクラゲの歌まで作ってしまったそうだ。

◆ケトル VOL.010(12月15日発売/太田出版)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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