各地で続々採用の「ご当地駅メロ」 上野駅が発車ベルを貫く理由

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今やすっかりおなじみとなったのが、電車が発車する時に鳴る発車ベルの代わりに、その土地になじんだメロディを採用した“ご当地駅メロ”。つい先日も、神奈川県茅ヶ崎市のJR茅ヶ崎駅が、サザンオールスターズの「希望の轍」を10月1日から駅メロに採用することを発表し、大いに話題になりましたが、このほか全国には、どのようなご当地駅メロがあるのでしょう?

JR北海道で唯一の駅メロは、函館本線函館駅の「旅立ちの鐘」です。特急の発車時に使用されるこのオリジナル駅メロは、他のJR各社で採用されている駅メロとは一線を画す、耳になじみがない15秒ほどのメロディ。旅立ちの荘厳さがあると、フル録音に挑む鉄道ファンも少なくありません。

JR東日本・常磐線の友部駅は、「明日があるさ」を使用しています。これは歌手の坂本九が、戦時中にこちらに疎開していたことに由来するもの。一方、高崎線の行田駅は、行田市観光大使に任命されているスターダストレビューの「夢伝説」を採用しています。

JR四国・予讃線の主要駅(高松、坂出、宇多津、観音寺、今治など)で採用されているのが、小柳ルミ子の名曲「瀬戸の花嫁」です。この曲は、JR西日本が管轄する岡山県内の宇野、児島、岡山駅の瀬戸大橋線のホームでも採用。会社をこえて使われる珍しい駅メロとなっています。

このように多くの駅がご当地駅メロを採用し、そのほかの駅でも発車ベルが廃止されつつあるなか、あえて発車ベルを使用しているのが上野駅です。これは、昭和30年代から始まった高度成長期に、集団就職などで東北地方から上京した人にとって、発車ベルにこそ思い入れがあるから。ただし13番線では井沢八郎の「あゝ上野駅」が、また16、17番線でも駅メロディが採用されています。(文中敬称略)

◆ケトル VOL.20(2014年8月11日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。