父親が3年間で461個の弁当作成 勉強大嫌い息子は無事高校卒業

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「2011年4月から2014年3月までの3年間、ある1人の父親が息子のためにお弁当を作り続けた」というニュースが、インターネットを通じてこの春、大きな話題になった。お弁当を作った父親は、ヒップホップバンド「TOKYO NO.1 SOUL SET」の渡辺俊美さん。彼はなぜお弁当を作り続けたのか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.116で、渡辺さんはこのように語っている。

「息子は勉強が本当に嫌いで、ひとつも勉強しなかったんです。僕は高校に行かない人生もありだと思っていたけれど、彼は一浪した翌年、『高校に行きたい』と受験して合格しました。せっかく自分の意志で高校に行くと決めた彼をどうサポートできるのかを考えて、学校のある横浜に引っ越して、毎日彼のためにお弁当を作ることにしました。3年間、息子は頑張って卒業することを、僕はお弁当を作ることを約束したんです」

当初は弁当作りのために時間もお金も惜しみなく注ぎ込んでいた渡辺さん。しかし、その生活に疲弊した彼は、「調理時間は40分以内」「ひとつのお弁当にかける材料費は300円以内」「おかずは材料から作る」という3つのルールを考案した。

「料理はもちろん、洗濯とか掃除とか、家事を効率良くできることって、世の中で一番クリエイティブだなと思うようになって、ゲーム感覚で楽しめるようになりました。毎日写真を撮ってツイートしたことも、反応が積み重なって、モチベーションアップに役立った。もともと凝り性ではまりやすい性分なので、容れ物にも興味が広がっていきました」

そんな彼の努力は、ネットでも話題になり、『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』(マガジンハウス)という本にもなった。渡辺さんは、お弁当を作る意味について、

「家族に言葉で伝えるのって、超難しいんですよ。言葉の代わりに音楽とか写真を勧めても、まず言うことを聞かない。でも『騙されて食ってみろ』って言うと、食べるじゃないですか。食は、言葉以外で家族に気持ちを伝えられる数少ないもの。僕は息子にお弁当を作ることで、目の前にいる大切な人に、自分の想いを伝えることができた」

と説明。大変にも思える弁当作りだが、「3年間お弁当を作って『よかった』しかないですよね。息子が喜んでくれたし、ちゃんと卒業できたし、なんとなく父親への尊敬の度合いが増したような気がするし」と、語っている。

◆『クイック・ジャパン』vol.116(2014年10月14日発売/太田出版)

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『クイック・ジャパン』vol.116

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。