「不可能」が存在しないナポレオンの辞書が本当に存在した?

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受験シーズンもそろそろ終盤戦を迎え、受験勉強でボロボロになった辞書を見ながら合格の感慨に浸っている受験生も多い時期です。「辞書」と言われてまっさきに思い浮かぶ人物といえば、「余の辞書には不可能はない」という台詞が有名なナポレオンですが、そんなナポレオンの一言を実際に再現した「ナポレオン辞書」なるものが存在したことをご存知でしょうか?

その正体は、学研から出されていた国語辞典。タイトルに『ナポレオン辞書』と銘打たれている以外は普通の辞書なのですが、問題は「ふ」のページ。「不可能」が想定される行は、何にもない空白状態で、まさに「『不可能』がない辞書」だったのです。ちなみに限定の販促品ゆえ非売品で、現在は入手不可能となっています。

しかし「単語がない辞書」はナポレオンだけではありません。例えば、竹内まりやの名曲『September』には、意中の人から借りた辞書の「ラブ」という言葉を切り抜いて返すという一節が登場。文字通り「ラブ」がない辞書を渡して、自分の恋に別れを告げるというおしゃれすぎる失恋方法だったのです。またアーティストの森村誠は、新聞や辞書に乗っている「t、h、o、m、a、s」以外の文字を塗りつぶしたアート作品「Dear Thomas」を発表しています。

ナポレオンの名言は、本当は「不可能はフランス語ではない」が正しいという説もあります。しかし、名台詞に名曲、アートなど、単語をなくすことだけで、あらゆるシチュエーションで存在感を示せるとは、やはり辞書の力は偉大なようです。

◆ケトル VOL.23(2015年2月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。