ドラえもんやドラゴンボールはタイムパラドックスをどう克服した?

学び
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「もし、あの頃に戻れたら」「もし、未来がわかったら」──時間の拘束を乗り越え、自由に時代を行き来したいという願望を、人類は古くから抱いてきました。それを具現化した作品の1つが、世界的大ヒット映画『BACK TO THE FUTURE』(以下『BTTF』)ですが、タイムマシンについて考える際に忘れてはならないのが、タイムパラドックスの問題です。『BTTF』のドクも、

「もし30年後の自分に会ったら、タイムパラドックスが連鎖反応を招き、時と空間の秩序が乱れて宇宙が崩壊してしまう!」(Part2より)

と、警告していますが、“タイムトラベルもの”の作品は、こうした問題をどうやって解決してきたのでしょうか?

日本人にとって最も身近なタイムマシンは、藤子・F・不二雄の『ドラえもん』に登場する“ひみつ道具”でしょう。ドラえもんには、タイムマシンに乗って過去や未来を訪れるシーンがたびたび登場しますが、タイムパラドックスを防ぐため、歴史を改変しようとするタイムトラベラーを取り締まる「タイムパトロール」が存在します。

一方、同じく藤子・F不二雄の『キテレツ大百科』にも「航時機」というタイムマシンが登場しますが、こちらは過去や未来をいじっても何の影響もないという設定になっている模様。これは「存在論的パラドックス」と呼ばれ、宇宙は決められた法則に沿って進んでおり、時間を移動して何かをしても、結局はすべて同じ結果が待っており、無限ループするだけ、という考え方です。

実際にこの漫画では、江戸時代の発明家であるキテレツ斎が航時機の発明者のはずでしたが、彼はキテレツが乗ってきた航時機を見て再現しただけというどんでん返しがあり、でも、そもそも未来のキテレツは、キテレツ斎の設計図で航時機を作り……という無限ループの設定がとられています。

また、鳥山明の『ドラゴンボール』にもタイムマシンが登場します。こちらでは、凶悪な人造人間が世界を破滅させた未来からやって来た青年トランクスが、歴史を大幅に変えてしまいます。しかし彼が未来に戻っても、何もパラドックスは起きていません。

これは「並行宇宙」という説で、タイムトラベルで過去に行った時点で、そこからは別の時間軸で進む宇宙が生じるという考え方です。だから、並行宇宙におけるタイムトラベルは、実は異なる宇宙間を行き来していることになります。これらの作品でタイムパラドックスが問題にならないのは、こんな理由があったのです。

◆ケトル VOL.24(2015年4月15日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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