お惣菜のような“グルメ缶詰”人気 背景に東日本大震災と宅飲みブーム

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品揃え豊富なスーパーを訪れると、それだけで気分がワクワクしますが、最近のスーパーの缶詰売り場には、お惣菜のような「グルメ缶」が充実しています。しかし、どうしてこんなに増えたのでしょうか? “食のセレクトショップ”にうかがいました。

「ずっと缶詰売り場を見てきましたが、最近のお客さまは缶詰をひとつのおかずとして買っていきますね。特に20代、30代ぐらいの人は、ちょっと変わった缶詰が並んでいると面白がって購入してくれます。メーカーもそういうニーズに応えようと、新しい商品を次々と開発しています」

そう語るのは、ユニークな品揃えで“食のセレクトショップ”とも称される「北野エース」大丸浦和パルコ店の店長・東さん。同店にはなんと180種類ものグルメ缶が揃っています。

従来の缶詰は素材系が多く、グルメ缶のようなお惣菜系は少数派でした。そんなグルメ缶のヒットの背景には、東日本大震災後の防災意識の高まりと、自宅で安上がりに晩酌する人が増えたことがあります。

震災により非常食としての缶詰に注目が集まり、その品質の高さが再評価されることに。そこに“宅飲み”消費の広がりが重なり、短時間で美味しく食べられるグルメ缶が、防災用の枠を超えて人気になったというわけです。

また、同店の缶詰売り場担当の平賀さんは、「缶詰はお店側にとってもありがたい商品」とも言います。

「ここ数年は全国各地の“ご当地缶詰”も増えており、スーパーの棚で産地めぐりの気分も味わってもらえる。今の缶詰は、お店独自の個性を出すのにすごく役立つんです」

ただ、そのためには担当者が熱心に珍しい缶詰を発掘してくる必要があります。

「だから私たちは、銀座や有楽町にある地方のアンテナショップを食べ歩いて、お客さまが『何これ!?』と引っかかるような缶詰をいつも探しています。実際うちの缶詰売り場には、各地の特産品が揃っていますよ」(東さん)

スーパーの一角を食のワンダーランドに変えてしまう今どきのグルメ缶は、お客さんとお店の両方から愛される存在なのです。

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。