高速化が進む新幹線 騒音減少に役立った“フクロウ”の知恵

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道民が待ち望んだ北海道新幹線が来月開通し、新幹線網が北海道から九州まで広がることになります。新幹線の歴史は、常にスピード記録更新の歴史ですが、1997年に時速300kmという当時の世界最速記録を打ち立てたのが500系新幹線。しかし開発の陰には、まさかのひらめきがあったのです。

東京~博多間の所要時間が5時間以内に短縮され、近未来的なデザインで鉄道好きの心をわしづかみにした“500系”。実は当時の技術なら、高速化自体はさほど難しいことではなかったそうですが、速く走れば走るほど大きくなる騒音が問題でした。その最大の原因は、車体から突き出たパンタグラフでした。

当時の開発責任者はある日、趣味のバードウォッチング中にフクロウが鳥類一静かに飛ぶことを教わります。フクロウの風切羽には「セレーション」と呼ばれるノコギリ歯状のギザギザがあり、これが空気をうまく逃すことで抵抗が減り、羽音が小さくなるのだそうです。

これにヒントがあるとにらんだ彼は、早速パンタグラフの支柱にギザギザの突起を取り付け、それまでの騒音から約30%の減少に成功します。多くの鉄道事業者を悩ませていた問題を解決したのは、フクロウが獲物に静かに近づくための自然の知恵でした。

◆ケトル VOL.29(2016年2月12日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。