上海生まれ、日本育ちのシンガー・ソングライター・王舟はなぜ英語で歌う?

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上海生まれ、日本育ちのシンガー・ソングライター・王舟が、1月に2枚目のアルバム『PICTURE』をリリースした。国籍上は中国人だが、20年以上日本で過ごす彼は、なぜ英語で曲を書くことが多いのか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.124で、王舟はこのように語っている。

「日本語だと言葉の意味が直接的すぎて恥ずかしくて歌えないんです。英語だとフィルターがあるから歌える。中国語はそもそもあんまり得意じゃないんです。というか、上海語しか自分は喋れないんです。小さいころは北京語も喋れたんですけど、忘れてしまった。漢字もあんまり読めないし、今じゃ日本語のほうが圧倒的に得意です」

8歳の時に両親の都合で日本に住むことになり、以来日本で暮らしている王舟。そんな彼が、中国語でも日本語でもなく、主に英語で歌う理由は分かったが、自らのルーツやアイデンティティに関しては、どのように思っているのだろう?

「高校の時ぐらいから、何でそれについて考えなきゃいけないんだろうって思ってました。子どもの頃から日本に暮らしているけど、親戚はみんな中国にいるし。小さい頃は国籍もどっちでもいいじゃんって思ってました。自分の居場所を求めるとか、そういう感覚があんまりないんですよね。実家の風景を思い出すんですけど、日本の家で日本のものに囲まれているのに、生活しているのは自分たち上海人で。それって混ざり合ってるんですよね。だから割り切れる感覚がない」

「もし結婚をして子どもが生まれたら?」という質問に、「今のところは日本ですけど、実際にそういなったときはどうなるかわからないです」と、答えた王舟。そのバッググラウンドの広さは、彼の音楽性にも繋がっているようだ。

◆『クイック・ジャパン』vol.124(2016年2月23日発売/太田出版)

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『クイック・ジャパン』vol.124

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。