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「植物の透明化」で細胞同士の“コミュニケーション”も見える?

動けない、話せない──そんな理由から「植物は動物よりも構造が単純で、原始的な生き物だ」と思ってはいませんか? しかし、「植物と動物はそもそもの成り立ちがまったく違う。だからこそ、動物では解明されていても、植物では解明できていない技術や謎も多いんですよ」と語るのは、名古屋大学理学研究科の東山哲也教授です。

そんな東山教授が、昨年名古屋大学の栗原大輔特任助教と共同発表した「植物を透明化する技術」は、動物ではすでに実用化されていたものの、植物ではいまだ実用化されていなかった技術の一つです。

「動物の透明化については、その脳を透明化し、蛍光観察するという手法が、すでにおこなわれてきました。同じ技術を植物に転用しようと多くの研究者が挑戦してきましたが、植物と動物では基本構造が違うため、同じ手法を用いても植物をキレイに透明化することが難しかったんです」

透明化の一番の障壁となったのは、植物組織にもともと存在するクロロフィル(葉緑素)などの色素類。そこで東山教授の研究グループは、既存の透明化解析技術を応用し、クロロフィルをはじめとする色素を取り除くため、30種類以上にものぼるさまざまな化合物に挑戦。結果、うまく色素を抜いて透明化する試薬「ClearSee」の開発に至ったそうです。

しかし、植物を透明化することによって、どのような利点があるのでしょうか?

「実験的な側面からいうと、植物の内部でなにが起こっているのかがより鮮明に可視化できるようになりました。従来の方法では、植物の外部から顕微鏡などで観察するか、内部を解剖するなどして植物を傷つけないと、その内部構造を見ることができなかったんですね。

でも、植物の3次元構造を維持したまま根や葉、めしべなどを丸ごと透明化することが可能になったおかげで、組織や細胞をはじめ、内部の構造をより細かく観察することができるようになりましたね」

この透明化によって、細胞レベルの現象と植物の個体全体をつなぐシステムの解明も期待されているのだそう。東山教授は、

「今回の透明化によって、今後、植物の内部で細胞がどのように連絡を取り合い、どう働いていくのかが、より具体的にわかるようになるはず。動物界とはまったく違う、植物界の成り立ちを垣間見るのがいまから楽しみです」

と、語っています。

◆ケトル VOL.30(2016年4月14日発売)

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