サリーちゃんの呪文「マハリクマハリタ」はどうやって生まれた?

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8月12日発売の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして「魔法少女」をピックアップ。著名人による「魔法少女と私」、魔法少女の名言集、魔法少女の50年かけあし年表など、魔法少女にまつわるあらゆる情報を紹介しています。今回は、日本初の少女向けアニメ「魔法使いサリー」にまつわるトリビアを紹介します。

「マハリクマハリタ」は、誰もが知っているサリーちゃんの呪文。しかし、横山光輝先生の原作コミックを読むと、この言葉はどこにも見当たりません、そう、日本の魔法少女アニメの幕開けを見事に飾ったこの呪文は、アニメ限定の言葉なのです。

同作を観たことがなくても、オープニング曲「魔法使いサリーのテーマ」で「マハリクマハリタ」を知っている人は多いでしょう。そして聴こえてきたら思わず「ヤンバラヤンヤンヤン」と続けて口ずさんでしまうはず! 文句なしで日本一有名な魔法の呪文なわけですが、実は歌詞として生まれた言葉でした。

生みの親は、『魔法使いサリーのテーマ』を作曲した小林亜星さんです、『日立の樹(別名・この木なんの木)』『あなたとコンビにファミリーマート』『くらし安心クラシアン』などのCMソングはもちろんのこと、子どもの頃に誰しもが歌ったであろう童謡『あわてんぼうのサンタクロース』も手がけている稀代のヒットメイカー・小林亜星さんですが、まさか魔法のフレーズまで生み出していたとは驚きです。

曲作りに熱中していたら不思議とこの言葉が湧いてきたそうですが、いきなりそんな不思議でキャッチーなフレーズが思い浮かんでくるものなのでしょうか? こうしたフレーズを曲に使う理由を、小林さんは次のように語っています。

「僕はスキャットが大好き。アニメ『狼少年ケン』のテーマ曲の“ボバンババンボン…”とか多いんですよ」(2009年8月29日付「宮崎日日新聞」)

スキャットはジャズやボサノバなどで多く用いられる、意味を持たない言葉で歌う手法です。そういえば『魔法使いサリーのテーマ』はニューオーリンズのジャズを感じさせる曲調。「マハリクマハリタ」は、作曲している最中に導かれるように降ってきた魔法のフレーズだったのです。それがそのまま物語本編にも使われ、50年も残り続けているなんて、魔法の国からやってきたのはサリーちゃんだけではなかったのもかもしれません。

こうした始まった『魔法使いサリー』に続き、東映アニメーションは魔女っ子もの第2号の『ひみつのアッコちゃん』でも作曲家として小林さんを起用。魔法少女アニメの音楽は、小林亜星さんから幕を開けたのでした。

◆ケトル VOL.32(2016年8月12日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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