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魔法少女モノの主人公はなぜ自分が持つ能力を周囲に隠す?

今年は東映魔女っ子シリーズの記念すべき第1作『魔法使いサリー』から放送50年。魔法少女作品が親しまれるようになって半世紀が経ちました。「もしもあなたが魔法の力を持ったなら?」──そんな特殊技能を持ったなら、つい浮かれて誰かに自慢したくなりそうなものですが、歴代の魔法少女は自分の持つ力を周囲には徹底的に隠すのがスタンダードです。

それゆえ、せっかく魔法の力で人助けをしたり、地球を救ったりと良いことをしても、誰からも褒められないばかりか、結果的に遅刻をしたり、約束を守れなかったりするため、家族や友達に怒られることも多いのです。

『魔法天使 クリィミーマミ』では、普通の少女である優は、魔法でマミに変身し、アイドルとして活躍します。でも、まさか「魔法で変身して、アイドル活動している」とは親に言うことはできません。両親を心配させないため、律儀に家の門限を守ったり、嘘の言い訳を考えたりと、毎日なんとか時間をやりくりして、アイドル活動を続けます。

『おジャ魔女どれみ』のどれみも、家に居候させていた妖精や魔女たちが勝手に家の食べものを食べるなどの騒動を起こしても、事態を収めるために「それは自分のやったこと」と罪をかぶります。

一方で、大切な人を危険から守るため、真実を隠す魔法少女も少なくありません。たとえば『魔法少女まどか☆マギカ』の暁美ほむらは、魔法少女になるべきかどうかを悩むヒロイン・鹿目まどかに、理由も告げずに「魔法少女にはなるな」と冷たく言い続けます。

発言の動機も不明なうえ、正体やその能力自体についても一切明かさない不思議少女のほむら。当初はまるで敵のような扱いを受けていましたが、後日、その発言の裏には、何度となく時間を遡ってまで「まどかの命を救いたい」と熱い想いを抱いていたことが明らかになります。怒られても、誤解されても、多くを語ることがいつだって正しいとは限らないということを、魔法少女作品は教えてくれるのです。

◆ケトル VOL.32(2016年8月12日発売)

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