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「見る」から「一緒につくる」へ 市民が蘇らせた北九州の奇跡の動物園

今年のプロ野球界では、”市民球団”として広く愛される広島カープが25年ぶりにリーグ優勝しましたが、福岡県には、一度は閉園したものの市民の熱い声によって蘇った“奇跡の動物園”があります。北九州市にある「到津の森公園」です。

到津の森公園は1932年、九州電気軌道(現・西日本鉄道)が「到津遊園」として開園。しかし2000年、経営不振のため68年の歴史に幕を下ろすことになりました。そこで立ち上がったのが、到津遊園を愛する市民たちでした。

なんと52団体、計26万人以上もの市民が存続を求める署名活動を行い、2002年に市営の「到津の森公園」として見事復活。同じく“奇跡”とされる旭山動物園(北海道旭川市)のような有名観光地ではありませんが、動物園業界では「北の旭山、南の到津」と称され、寄付やボランティアなど、市民の協力を得ながら運営する動物園のモデルとして、全国から視察者が絶えません。

同園でもっとも大切にされているのが、来園者とのコミュニケーションです。旭山動物園の小菅正夫元園長とは盟友でもある岩野俊郎園長は、『WEDGE infinity』のインタビューで、動物園の在り方についてこう話しています。

「大事なのは飼育係の精神性、つまりソフトです。ハード(施設)からハートをとれば濁点が2つ残るだけ。ハードの中に自分たちの思いがなければダメなんです」

そんな岩野園長の思いこそが到津の森公園のアイデンティティ。園内では飼育員さんが楽しげに来園者と挨拶を交わす姿が見られ、通りすがりの飼育員さんが動物の解説をしてくれたり、作業中でも気軽に疑問を投げかければ何でも答えてくれたり。飼育員さんの動物への思いが伝わってきます。

同園では、市内の企業や個人が有志で“動物サポーター”となり、エサ代などを寄付する取り組み(お気に入りの動物を指名してエサを届ける人も!)や、スタッフの作業を手助けする市民ボランティア活動も盛ん。到津の森公園は、市民が「私たちの動物園」と胸を張れる動物園なのです。

◆ケトル VOL.33(2016年10月14日発売)

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