背後に立ったら最後? 「バク」は孤独を愛するゴルゴ13

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布団から出るのが辛いこの季節、夢の中でまどろむのは至高の時間ですが、そんな夢を食べてしまうという伝説で知られるのが謎多き珍獣・バク。動物園ではぽつんと1頭で展示されることが多く、一層不思議さを際立たせていますが、それにはあの癒し系フェイスとは裏腹の、意外な理由がありました。

「基本的にバクは、森林や水辺の藪の中で単独で暮らす動物。特にオス同士は喧嘩をしてしまうので、絶対に一緒には飼えないんです」

そう話すのは、静岡市立日本平動物園でオスのマレーバク「フタバ」の飼育を担当する横山さん。その孤独好きは筋金入りのようです。

「オスは繁殖期にメスと出会っても、交尾が終わればまだどこかに去っていきます。子育てにはノータッチなので、父子を一緒に飼うと誤って子どもを攻撃してしまうこともあります。1頭で寂しそうだと思われがちですが、もともと独りが好きなんです」

一匹狼なうえ、このイクメン全盛の世にあって、なんだかアウトローな生態のバクは、自分の世界を守るための必殺技を持っています。前触れもなく突然、真後ろにオシッコを噴射するのです。

「『ここは自分の縄張りだぞ』と、プシャっと尿を飛ばしてマーキングします。数メートル飛ぶときもあり、結構な威力と匂いなので、かけられると大変です」

それはさながら、人が背後に立つと反射的に殴ってしまうゴルゴ13のよう。ただ、この警戒心の強さは繊細な性格の表れ。飼育担当者の交代や日々の些細な変化も敏感に察知し、聞き分けが悪くなることもあるのだそうです。

孤高の存在であることが判明したバクですが、横山さんによれば、フタバはプールが大好きで、楽しそうに水遊びをする姿も見られるそう。謎めいたバクに惹かれるのは、このギャップゆえなのかもしれません。

◆ケトル VOL.33(2016年10月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。