ビジネスパーソン必見の『しごとの基礎英語』 台本なしの本気度

学び
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企業活動のグローバル化が進む中で、英語力はますますビジネスパーソンの必須スキルになりつつあります。しかし一方で、英語力に不安を抱えている人がたくさんいるのも事実。Eテレには現在、英語講座番組が5つありますが、実際に仕事で英語を使っているビジネスパーソンの悩みを題材にしているのが『しごとの基礎英語』です。リアルなビジネスシーンの一幕を再現したミニドラマを通じて、実践的な英語力を養っていきます。

ミニドラマは毎回、日本人の主人公・Akiが直面するさまざまなトラブルを軸に展開します。例えばある回では、外国人の部下がクライアントに失礼な発言をしてしまい、それを謝罪しなければならなくなります。もちろん、ブロークンではない丁寧な英語を使ってです。このドラマがあることで、『しごとの基礎英語』は一般的な英語教育コンテンツと一線を画すことに成功しています。教育番組にも関わらず、見ている方までドキドキする緊張感があるからです。

というのも、Akiに扮する俳優の篠山輝信さんは、毎回リハーサルなし、台本もなしのアドリブでこのやり取りを乗り切らなければなりません。日本語は一切なく、ドラマはすべて英語で進みます。周囲の会話を聞きながら、そもそも自分がどういう状況に置かれているのかを把握しなければならないところからスタートするのです。

そして、ドラマのクライマックスになると、「さて、君はどう思う?」と発言を促されます。必死に頭をめぐらせる篠山さんの表情を見ているだけで、似たような状況を思い出し、胃がキリキリと痛むビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。

しかし、ビジネスの現場にこうした緊張感は付きもの。番組を見ながら頭の中でリハーサルをしておくことで、実際に同じような状況に直面してもたじろぐことがなくなり、適度な緊張感を持って学ぶことで、英語の正しいフレーズが身に沁みて理解できるようになります。

加えて、何より重要な学びのポイントは、Akiが発する英語が間違いだらけということ。それを先生が採点し、正しい言い方に直していくのですが、この構成からは、そもそも勇気を持って話してみなければ、いつまで経っても英語力は鍛えられないというメッセージが感じられます。実際、Akiは回を重ねるごとに英語力が向上し、トンチンカンなことは言わなくなっていくのです。英語力を鍛えるには、何よりも場数を踏むこと。英語の「基礎」とは、実はこういうことなのかもしれません。

『しごとの基礎英語』
放送開始:2013年9月30日~放送中
放送時間:月曜~木曜 22:50~23:00

◆ケトル VOL.34(2016年12月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。