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18年ぶり大改訂のNHK『アクセント辞典』 2つの“正解”を載せる意図

「クラブ」という単語を見て、あなたは何を思い浮かべますか? 銀座などで美人ホステスが集まる高級「クラブ」か、音楽がかかり、夜ごと若者が集う「クラブ」か。字面をみただけではどちらを意味するか分からない単語が持つ複数の意味を使い分けるのに欠かせないのがアクセントの存在です。

そんな日本語のアクセントをまとめるべく、1943年に発行されたのがNHKの『アクセント辞典』。十数年ごとに新たに改訂され続けている同辞典ですが、2016年5月に18年ぶりに5回目の大改訂版が発刊されました。編纂に携わったNHK放送文化研究所のメディア研究部・主任研究員の塩田雄大氏はこう語ります。

「いまはテレビやネットの影響で、日本全国どんな地方であっても共通語が通用します。ただ、共通語としての日本語が広まっていく一方、公共報道としてのNHKに求められるのが『公的な日本語』です。多少改まった場で使っても、多くの人が自然と受け入れてくれるアクセント。その基準を打ち立てるために、この辞典の編纂を行っています」

今回の大改訂では、全国のNHKのアナウンサー約500人に全3回にわたってアンケートを取り、アクセントの変更が必要な単語や新規で追加が必要な単語、時代的背景を鑑みて削除しても良い単語などを、8年間かけて調査・推敲。その結果、過去最高の約7万5000語が掲載されています。そして今回の改訂版では、「地名」も掲載されています。

「地名のアクセントは、前から『掲載してほしい』という要望が多かったため、今回本編に3000ほどの地名を載せました。ただ当地とそれ以外とでアクセントが異なるケースがあります。このような場合、表示を1個に絞らないで2個掲載しているものも多いのです」

2個もあるとどちらが正しいのか迷ってしまうところですが、辞典内で示したアクセントは、必ずしも「これが絶対に正しい」と押し付けるものではないと、塩田さんは言います。

「災害時などにニュース速報が流れたとき、あるアクセントで放送されたものを現地の人が聞いて、『自分には関係のない違う地名だ』と勘違いしてしまうのでは意味がない。日本語は常に変わるものですし、一番大事なのは伝わることです。アクセント辞典はあくまで指針のひとつ。辞典に載っているアクセントのどれを選んで発音するかは、使用者自身に判断してほしいと思っています」

◆ケトル VOL.34(2016年12月14日発売)


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