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M・ジャクソンは『スリラー』のPVでゾンビと踊る予定ではなかった?

音楽史上、最も売れたアルバムと言われているのが、マイケル・ジャクソンの『スリラー』です。全世界の売上枚数は1億枚超とも言われる『スリラー』といえば、もっとも有名なのがPV。中でも、マイケルがゾンビたちとダンスを踊るシーンは大変印象的ですが、ゾンビが採用されるまでには一悶着がありました。

1981年に音楽専門チャンネルとして開局したMTVは当初、すでに黒人ミュージシャンのスターが多数生まれていたにもかかわらず、彼らのビデオをほとんど流していませんでした。その方針に異を唱えたのが、すでに数々の大ヒットを飛ばしていたマイケル・ジャクソンです。

アルバム『スリラー』の発表に際して、マイケルはシングルカットした「ビリー・ジーン」で多額の予算をかけた「ショートフィルム」を制作します。音楽の宣伝を目的としたPVの枠を超え、映像もひとつの作品として成立するクオリティを目指したのです。

所属レコード会社のCBSソニーの圧力もあり、「ビリー・ジーン」と、それに続く「今夜はビート・イット」のビデオはMTVで連日放送され、アルバムも爆発的なヒットを記録します。この反響を受けてマイケルは、シングル「スリラー」において、当時としては破格の50万ドルをかけた大作ビデオを企画しました。マイケルがゾンビたちと踊るあのビデオです。

ただ、もともと「スリラー」にゾンビが登場する予定はありませんでした。マイケルは映像にインパクトを与えるため、モンスターに変身して踊る場面を入れようと考えていたものの、監督の「地獄から蘇った悪魔やゴブリン」というアイデアを「悪魔的なものは演じたくない」と拒否。その代わりに宗教色のないゾンビが採用されたのです。

こうして完成したビデオは世界中で大絶賛。アルバム『スリラー』は世界の音楽史上で最高の売上枚数を記録しただけでなく、メイキング集を収録したビデオも900万本を売り上げたといわれています。

以降、MTVは黒人ミュージシャンのビデオも積極的に流すようになり、黒人文化のオーバーグラウンド化に貢献していきます。マイノリティだった黒人たちのカルチャーを、マイケルのゾンビがアメリカ文化の代表格にまで引き上げたのです。この功績を称え、アメリカ議会図書館には「スリラー」のフィルムが永久保存されています。

◆ケトル VOL.38(2017年8月16日発売)

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