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TBSラジオの名番組『小沢昭一の小沢昭一的こころ』の心をたどる名店

『小沢昭一の小沢昭一的こころ』は40年間続いた
『小沢昭一の小沢昭一的こころ』は40年間続いた
Amazonより
『ケトルVOL.39』 著:ジェーン・スー、中澤有美子、久米宏、伊藤弘、伊集院光、南部広美、南馬越一義、堀井…ほか

ラジオ史をたどると、伝説的な長寿番組が数多くありますが、「男のお洒落について考える」「人生の幸せについて考える」「結婚しない若者について考える」など、俳優の小沢昭一さんが毎週さまざまなテーマで人々の暮らしや折々の出来事を面白おかしく語ることで世代を超えた多くのリスナーに愛されたのが、『小沢昭一の小沢昭一的こころ』(TBSラジオ)。

放送開始が1973年1月8日というこの番組は、軽妙な話術で架空の人物たちの悲喜こもごもを演じ切る10分間の「独演会」で、落語家の五代目柳家小さんからも「本当の現代の落語」と評されました。

架空のサラリーマン「宮坂さん」を主人公に、その家族、会社の同僚といった人物にまつわるエピソードなどを小沢さんが落語の小噺のように1人で演じるモノローグ番組で、1973年1月から、小沢さんの逝去で終了する2012年12月まで約40年にもわたって放送され、放送回数は1万414回を数えました。

日々の放送分は週に1回、毎週月曜にまとめて収録されていましたが、その際に必ず、TBSの近所にある「室町砂場 赤坂店」に立ち寄っていました。東京・赤坂の喧騒の中にありながらも、古い日本家屋の店構えと同様に落ち着いた雰囲気を漂わせる「砂場」は、江戸前そばの伝統を今に伝える老舗そば屋です。ラジオでは軽妙なトークを繰り広げていた小沢さんも、この店にいるときだけは、「いつも無口だった」と同店女将の村松ヨシ子さんは振り返ります。

「いらしていたのは収録前の12時半頃か収録後の16時過ぎ頃。お仕事のことを考えていらしたんでしょうね。いつも話しかけにくい、どこか集中したオーラをまとっていました」

◆収録直前に豪雨で足止めそば職人が神対応

何十年も「砂場」に通いつめた小沢さんでしたが、お店の人と言葉を交わすのは、「もり」「おかめもり」といった注文をするときくらいのもの。しかし長いお付き合いのなかでは、こんなエピソードも。

「あるとき小沢さんが収録前に来店されたんですが、お食事をされている間に外が集中豪雨で膝下まで水があふれてしまって。スタジオに行く予定の時間が近付くにつれて、小沢さんは焦っておられましてね。そこで当店の職人が、小沢さんを背中におぶってTBSまでお送りしたんです」

そんな小沢さんが愛した「砂場」の「もりそば」は、純粋にそばの味を楽しみたい人にオススメの一品。香りの芳ばしい二番粉(そばの実の芯の外側)だけで打たれたそばを濃いめのめんつゆですすれば、豊かな味わいが口いっぱいに広がります。黙々とそばを食べながら、女将さんや職人さんとの絆を深めていた小沢さん。TBSラジオの歴史を語るうえで欠かせない番組「小沢昭一的こころ」の「こころ」を感じに、一度立ち寄ってみては?

■室町 砂場 赤坂店
住所:東京都港区赤坂6 -3 -5
営業時間:11:00~20:00 ※土曜のみ19:30まで

◆ケトル VOL.39(2017年10月16日発売)

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