ジャッキー・チェン 驚きと笑いを生む「椅子アクション」の秘密

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時計台から落ちたり、高層ビルのガラス張りの斜面を滑り降りたり、電飾ポールを滑り降りたり……ジャッキー・チェンと言えば、とにかく派手なスタントで世界中の映画ファンを魅了してきましたが、一方では“小物”を使ったアクションも大得意。そんななかでもジャッキーがお気に入りなのがイスです。

ジャッキー映画の格闘シーンでは、とにかくイスが大活躍します。イスを掴んで相手を殴ったり、盾のように構えて刀や槍を防御したり、緊迫した状況の中で足をぶつけてしまい笑いをとったり。イスは武器や防具になり、ギャグの小道具にもなっています。

イスを使ったバトルで特に印象的なのは『ヤング・マスター』(1980年)のワンシーン。ジャッキーとユン・ピョウがたった1つのイスを挟んで向き合い、まるでダンスのような長い攻防を10分以上も繰り広げます。あまりにもジャッキーがイスを使う姿がかっこいいため、学校でイスを振り回す男子が続出し、窓ガラスを割ってしまうなんて事件もあったとか。

『ライジング・ドラゴン』(2012年)ではイスの代わりにソファも登場。「ソファから離れたほうが負け」というルールでジャッキーがライバルと戦うシーンは、10分ほどのバトルの撮影に3カ月をかけるほどこだわりました。誰も見たことがない使い方を考えるには、膨大な試行錯誤が必要なのです。

ジャッキー映画の特徴はアクションとコメディの融合にあるとよく言われますが、その真髄はイスに詰まっています。というのも、ジャッキーはイスという身近なものを想像力豊かに使うことで、観客に驚きを与えています。どこにでもあり、世界中の誰もがよく知っているものだからこそ、その意外すぎる使い方のギャップに、私たちは「ありえない!」と驚きつつ、思わず笑ってしまうのです。

◆ケトル VOL.40(2017年12月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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