アイドル冬の時代にデビューしたAKB48 成功を呼んだ「可視化」

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「CDが売れない」と言われる続ける状況のなかで、いまだミリオンヒットを連発し、CD不況を一手に支えるのがアイドルです。しかし、アイドル業界はずっと栄華を誇り続けてきたわけではありません。

ゼロ年代はアイドルにとって冬の時代だったと言われています。「LOVEマシーン」の大ヒットにより、90年代後半にブレークしたモーニング娘。が健闘していたものの、アイドルシーン全体は停滞が続いていました。2005年に東京・秋葉原の小さな劇場でデビューしたAKB48は、このモーニング娘。にあこがれてアイドル業界を目指した女の子たちで結成されました。

ヒットメーカーである秋元康のプロデュースで始まったものの、アイドルシーン全体が下火だったこともあり、なかなかブレークのきっかけがつかめず、握手会に代表される草の根的な活動で地道にファンを増やしていました。

しかし、秋元康が「自分でメンバーを選んだらファンから『わかってない』と言われるので、ファンに選んでもらうことにした」という理由から始めた「選抜総選挙」が2009年より開催されると、それぞれのメンバーの“人気度”が可視化されるようになり、ファンによる応援の輪が拡大。あっという間に大ヒットを連発する国民的アイドルグループへと成長しました。

ほかにもゼロ年代後半には“週末ヒロイン”として路上ライブからキャリアをスタートしたももいろクローバーZや、秋葉原のライブ&バー「ディアステージ」からデビューしたでんぱ組.inc など、テン年代の音楽業界を賑わせるアイドルたちが数多くデビューしています。

そして、ゼロ年代に孤軍奮闘していたモーニング娘。は、テン年代に入るとアイドルソングにEDMをいち早く取り入れたり、複雑なフォーメーションダンスを追求するなど転換期を迎えます。その結果、パフォーマンス性の高さから再評価され、現在も正統派アイドルとしての地位を守り続けています。

◆ケトル VOL.44(2018年8月17日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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