東京Dで振り返る新日本プロレス平成史・中期 小川、大仁田、ノア、K-1…

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平成という時代はまもなく終わりますが、新日本プロレス(以下「新日本」)の平成は、東京ドームとともに歩んできました。平成元年(1989年)4月24日、新日本は日本プロレス史上初となる東京ドーム大会を行ない、その後、毎年変わらずに開催されてきました。新日本が平成の30年間で刻んできた東京ドーム大会の中から、平成中期(1999年~2008年)の名シーンを振り返ってみましょう。

【1】『WRESTLING WORLD in 闘強導夢』 1999年1月4日 「小川の暴走で大乱闘に!」

引退した猪木が設立した「U.F.O.」と交流戦が実現。その所属選手として総合格闘家に転身した小川直也が橋本真也と対戦することに。過去に小川×橋本は2回行われ、戦績は1勝1敗。その決着をつける……と思いきや、小川はプロレスのルールを逸脱した暴走ファイトを展開。

これに反発した新日本の選手がリングに流れ込むと、U.F.O.側との乱闘が発生。会場は騒然となりました。この遺恨試合は翌年にゴールデンタイムで生中継された「小川直也に負けたら即引退! スペシャル」につながり、敗退した橋本は34歳の若さで引退することになるのです

【2】『STRONG STYLE SYMPHONY NEW JAPAN SPIRIT 1999』 1999年4月10日 「新日本初の電流爆破が炸裂」

大仁田厚が自身の団体「FMW」で作り上げた「ノーロープ有刺鉄線電流爆破デスマッチ」。リングにはロープの代わりに電流が流れる有刺鉄線を巻き、そこに触れると小型爆弾が爆発するという試合形式で、その凄まじい迫力により90年代に一大ブームを巻き起こしました。

とはいえ、大仁田自身が標榜していたように、こうしたデスマッチはプロレスの本流ではない“邪道”と思われていたことから、当時の新日本では大仁田の参戦すら拒否。しかし大仁田の人気に押されるかたちで、1999年のイッテンヨンに初参戦が実現すると、4月の東京ドーム大会では新日本では初となる電流爆破デスマッチまで開催。蝶野正洋が大仁田を迎え撃ったものの、自身も爆破を受け、両者KOに終わりました。

【3】『闘魂記念日』 2002年5月2日 「新日本とノアのトップ対決!」

2002年1月、武藤敬司らスター選手や団体スタッフが全日本へ大量移籍したことで、間近に迫った創立30周年記念興行「闘魂記念日」は開催すら危ぶまれるほどのピンチに。そこで新たな現場監督となった蝶野正洋は、ノアの社長である三沢光晴に協力を要請。業界の信頼を失墜させるわけにはいかないと三沢が参戦を約束したことで、両者の初対決が実現しました。団体のトップ同士による白熱の闘いは会場を熱狂させ、この記念興行は大成功。格闘技ブームに押されていたプロレスが久しぶりにその力を見せつけることになったのです

【4】『ULTIMATE CRUSH』 2003年5月2日 「プロレスと総合格闘技がまさかの融合」

プロレスと総合格闘技の融合という史上初の試みとなった「ULTIMATE CRUSH」。その中で、かつて「闘魂クラブ」(新日本のレスリング部門)の先輩後輩だった中西学と藤田和之の一戦が決まります。しかし中西は五輪のレスリング日本代表という実績はありましたが総合は未経験。それに対して藤田は「PRIDE」のリングでも活躍し、総合の実績も十分。この対決は先輩が後輩に挑戦するという異色の一戦となりました。

中西は3ラウンドまで奮闘したものの敗退。その後も「K-1」で敗北するなど不遇の日々が続きますが、2005年には藤田らとレスリングユニットの「チームJAPAN」を結成。そこで自身の持ち味を活かした闘いを繰り広げ、“野人”と呼ばれるほどの奔放な魅力を開花させたのです

【5】「NEXESS」 2004年5月3日 「K–1戦士と異種格闘技戦!」

中邑真輔という新世代王者の誕生とともに、新日本は次なるスター候補として「新・闘魂三銃士」を結成します。選ばれたのは中邑に加え、棚橋弘至と柴田勝頼という同世代の若手レスラーたちでした。しかし、それぞれ理想のプロレススタイルが異なるにもかかわらず、同じものとして括られたことに当人たちが納得せず、特に柴田は強く反発。中邑と同じく柴田も格闘技参戦に駆り出され、この東京ドーム大会では「K-1」戦士の武蔵と異種格闘技ルールで対戦しました。

柴田は左ハイキックでKOされたものの、日本人トップファイターだった武蔵を相手に一度はテイクダウンを奪うなど健闘。ファンからも評価されましたが、会社の方針に疑問を抱いた柴田は翌年退団してしまうのです

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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