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伊丹十三さん 映画監督になるきっかけとなった「火葬場の煙」

『ケトル VOL.47』(伊丹十三特集号 太田出版)
『ケトル VOL.47』(伊丹十三特集号 太田出版)

『お葬式』『タンポポ』『マルサの女』など、伊丹十三監督は数々の名作を世に送り出しましたが、それらすべての作品で重要な役柄を務めたのが、女優で妻の宮本信子さんです。夫が映画監督で妻が女優という夫婦は、周防正行と草刈民代、園子温と神楽坂恵、石井裕也と相楽樹などがいますが、どのような経緯で夫婦が共演する作品が生まれることになったのでしょうか? ケトルVOL.47で、宮本さんはこのように振り返っています。

「伊丹万作さん(注:伊丹の父。映画監督)の息子だから1本くらいは映画を撮ってほしいなと私は思っていて、よくそれを口にしていました。でも、伊丹さんは右から左へスルーするばかりで、そんな気は全くなかったんです。

ところが、私の父の葬儀で火葬場の煙を見ていたら『これは映画になる。あなた、メモして』と言われて、私も『わかりました』って。デザイナーをしたり、テレビ番組を作ったり、雑誌の編集長をしたりといろんなことをやって最後に辿り着いたのが映画監督だったのでしょうね」

映画監督になる前に、デザイナー、エッセイスト、TVやCMの制作者など、様々な分野で才能を発揮し、とにかく多才だった伊丹さん。宮本さんの脳裏には、まるで昨日のことのように鮮明な記憶があるようです。

「いろいろ実験的なことをやっていましたが、よくあれだけやりたいことを思いつくなと感心していました。覚えているのは、伊丹さんが出演していたお昼のワイドニュース。事件が起きると、自分でイラストを描いて解説したり、模型を作ってそこに小さなカメラを入れて経路を辿ったりするんです。こういうことって今のテレビでもやってたりしますよね。その先駆者が伊丹さんだったんです」

今、伊丹さんがテレビ番組に携わっていたらどんなものができあがっていたのでしょうか。はたまた、ウェブを舞台にバズ動画を連発していたのでしょうか。宮本さんはこう語っています。

「みんなで遊んでいたのよね、テレビの自由さとか豊かさを利用して。それに『僕が責任持ちますから』といってスポンサーと戦ってくれる上司も多かったから。それも大きかったんだと思います」

昨今では“テレビ離れ”が話題になることが少なくありませんが、きっと伊丹さんなら、制約の中でも面白い作品を作り上げたはず。伊丹さんが亡くなってすでに20年以上が経過していますが、想像しただけでもワクワクしてしまうほど、才能に溢れた人物だったのです。

◆ケトルVOL.47(2019年2月15日発売)

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