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オザケンが最高のシロクマに 「子供向け番組」が渋谷系化した時代

『ケトル VOL.48』(渋谷系特集号 太田出版)
『ケトル VOL.48』(渋谷系特集号 太田出版)

平成を代表するユースカルチャーの「渋谷系」は、センスの良い音楽にファッション、デザインが連動したもの。一見、子どもとは無縁と思われがちですが、実は深い関係があります。1992年から1994年にかけて放映された『ウゴウゴルーガ』と1993年から2018年まで続いた『ポンキッキーズ』。この2つの子供向けテレビ番組が、お茶の間に渋谷の風を巻き起こしました。どちらも「渋谷系」と密接に関わるという点で、単なる「子供向け」の域を越えてしまった番組なのです。

共通点として第一に挙がるのは、番組に携わる「渋谷系」なアーティスト陣。『ウゴウゴ』の主題歌としてピチカート・ファイヴの『東京は夜の7時』やコーネリアス『PERFECT RAINBOW』が流れ、『ポンキッキーズ」の番組MCにはスチャダラパー・BOSE さんが登場。1996年には小沢健二さんが「オザケンくん」として、シロクマの着ぐるみ姿でゲスト出演しました。スタジオで披露したライブ演奏や、彼が作詞作曲した『オナラで月まで行けたらいいな』も忘れられません。

また、いずれも実験的な映像表現に特徴が。『ウゴウゴ』は当時珍しい3DCG表現を積極的に活用していました。田中秀幸さん、秋元きつねさん、岡崎京子さんなどの多方面のクリエイターが参加していたところは特筆すべき点です。

一方でポンキッキーズは和田アキ子さんの楽曲『さあ冒険だ』におけるMVで映画『月世界旅行』の映像に合成をかけるなど、映像表現にサンプリングの技が光ります。両者は表現・演出の面でも、渋谷系に見られる「率先して情報をインプット・アウトプットする」という潮流を汲んだ番組だったのです。

なぜこういった先進的な子供向け番組が作られたのでしょうか。当時『ポンキッキーズ』制作に携わっていた担当者にお話を伺いました。番組を通し、世代を超えた良質なコンテンツの提供を意識した、と当時を振り返ります。

「ポンキッキーズはエンターテインメントとエデュケーション、両方の要素を取り入れた“エデュケイメント番組”。大人でも良いと思えるようなものを届けたかったので、これからの時代を担う若手ミュージシャンや、21世紀に名を残す著名アーティストを意識して選出しました。

また、映像表現は子供達の想像力を膨らませようとすることに注力。ジョルジュ・メリエスの映像手法のように、多くの映像作家が影響を受け、100年経っても新鮮な映像を子供たちに提供しようとしていました。ちなみに小沢さんが着用したシロクマの着ぐるみは、彼が子供たちに『普通のお兄さん』の姿として映らないよう、ご本人と相談して決めたんです。シロクマというお題は彼からいただいたもの。動物の着ぐるみを製作するプロに依頼し、最高のシロクマを用意しました」

こういった野心的な取り組みは、時に視聴者を置き去りにしがちですが、そうはならなかったのが素晴らしいところ。テレビ離れが叫ばれる今こそ、このような“攻めの企画”が必要なのかもしれません。

◆ケトルVOL.48(2019年4月16日発売)

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