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シリーズ終焉の『X-MEN』 約20年間貫かれた普遍のテーマ

『ケトル VOL.49』(X-MEN特集号 太田出版)
『ケトル VOL.49』(X-MEN特集号 太田出版)

2000年にスタートした『X-MEN』の映画シリーズは、6月に公開された『X-MEN:ダーク・フェニックス』でついに終焉の時を迎え、マーベル・コミックス史上最長の映画シリーズがその歴史に終止符を打ちました。大人気を博してきた同シリーズは、作品の発表順が映画内の時系列順でないことから、タイムラインが複雑なことでも知られていますが、そこには貫かれた普遍のテーマがありました。

●変わらぬ友情を持ちながらも対立する永遠のライバル

たくさんの印象的なキャラクターが登場する『X-MEN』ですが、物語の中核をなすのはプロフェッサーXとマグニートーの対立です。

若き日に出会った2人は数少ないミュータントの仲間として厚い友情を築きながら、やがて理想の違いから決裂。人類に何度ひどい仕打ちを受けても平和共存の道を諦めないプロフェッサーX。一方、ミュータントは人類の脅威なのだから力を示して恐れさせるしかないと考えるマグニートー。差別に対話で臨むか、暴力も辞さない徹底抗戦か。この今の社会にも変わらぬ問題として存在する対立が、『X-MEN』を貫く普遍のテーマなのです。

●キャラクターとシンクロする2人のカリスマ黒人指導者

原作コミックが発表された1963年は人種差別に抗議する公民権運動が全米に広がった時期でした。その中心人物は2人。非暴力主義を掲げるキング牧師と過激な抵抗運動で知られたマルコムXです。それぞれの思想的立場はプロフェッサーXとマグニートーに該当しています。

この類似性について原作者のスタン・リーは「無意識的なもの」と語っていますが、社会に蔓延する差別や偏見との対決を中心に据えた物語が公民権運動の暗喩であることは自覚していたそうです。以来、一貫して『X-MEN』は差別や偏見との戦いをさまざまなかたちで問いかけています。

●映画で演説が引用されたアメリカ初のLGBT議員

この人物はハーヴェイ・ミルク。アメリカ初のゲイを表明して当選した政治家です。バイセクシュアルである監督のブライアン・シンガーはLGBT差別の問題も映画に盛り込みました。『X-MEN2』では家族にミュータントであることを告白すると、両親から「普通になれない?」と言われるシーンがあるなど、随所にLGBTの苦悩が反映されています。

ミルクの伝記映画を企画したこともあり、『X-MEN:フューチャー&パスト』ではマグニートーのセリフに演説の一説を引用。映画を通して自分と同じ境遇にいる人々に「人と違うことは恥ではない。誇りを持とう」と訴えています。

◆ケトルVOL.49(2019年6月15日発売)

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