眠れない夜はインターネットの話でも
第12回

デジタルネイティブ女子鼎談 会えない中での新しい人と人との距離

眠れない夜はインターネットの話でも
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塩谷舞・石井リナ・大久保楓、デジタルネイティブと呼ばれる3人による鼎談第12回。新型コロナウイルス騒動はいまだに先が見えない状況ですが、今後社会はどのように変わっていくのでしょうか?

* * *
舞:日本の生活はどう?

楓:私は、YouTubeのディレクションを自宅でやってます。新規撮影は全部ストップですが、まだストック素材があるので。

リナ:家とオフィスの往復ですね。とは言ってもオフィスが徒歩圏内なのと、私と旦那さんの2人きりなので、他の人とは会ってませんね。会議もテレカンです。本当は対面でやりたいと思うものもあるんですが……。それよりNYは大丈夫ですか?

舞:外出制限になって最初の頃は救急車のサイレンとかニュースとか、いろいろなことに敏感になっていたけど、気持ちも落ち着いてきました。食べ物には困っていないし、散歩ならできるし。ちなみに、今は夫の3Dプリンターが大活躍です。

楓:家にあるんですか!?

舞:うん(笑)。手に入りにくい調理器具も3Dプリンターで自作して、お菓子作りに励んでるよ。ハッピーな状況とは決して言えないけど、個人的には、家で落ち込んでいる時期は過ぎたかなぁ。今は、できる限り明るく楽しく生活しています。

リナ:でも「人に会えない」「外出できない」って、想像以上にメンタルに響きますよね。今になってみると、何気ない小旅行や音楽イベントがどれだけストレス発散になっていたか……。

舞:わかる!私もずっと超インドア派だったんだけど、それは、刺激の強すぎる社会に対してバランスを取りたかったからなのかもって気づきました。外的な刺激のない今はむしろパーティーにすごく行きたい(笑)。

楓:逆に、私は人と会うストレスが少なくなってすごく楽なんです。毎年春先には精神的に落ち込むことが多かったんですけど、今年はそれもなくて。困っているのは、動かないから、夜眠れないことぐらいですね(笑)。

舞:子供みたいで可愛い(笑)。

会えないなかでの新しい、人と人との距離

楓:あとは、頻繁にオンライン飲み会をするようになりました。緊急事態宣言で大学は休校だし、仕事もリモートワークの人が多いからみんなのスケジュールが合いやすくなって。LINEグループを見るといつも誰かが通話している感じですね。そういう意味では、なんだか今の方が誰とでも繋がれる感じがします。

舞:疎遠になってた友人とも、インスタ見て「元気?」って話しかけたりするよね。でも大人数のオンライン飲み会は、ちょっと苦手かも……リアルの飲み会だと自然と話題ごとに小さなグループに分かれるけど、システム上、それができないのが……。全員が楽しめる1つの話題を見つけるのも大変じゃない?と言いつつ、お誘いがなさすぎてちょっと寂しいんだけど。誘われ待ちじゃ駄目だね(笑)。

リナ:私もです!夫婦揃って似たような状況なので、2人で「私たちって友達少ないのかな?(笑)」と言い合ってます。

舞:家では何を楽しんでる?

リナ:今まではNetflix 三昧だったのが、最近は笑いが欲しくなってYouTube をよく見ます。それでもやっぱり、差別や偏見をベースにした笑いの動画はもう受け付けられないですね。

舞:落ち込んでる時に別の話題で落ち込みたくないしね。誰も傷つけない笑いが必要だと思う。

楓:私もネット配信をよく見てます。リナさんに教えてもらったNetflixの『POSE』は面白いですね。

リナ:面白いよね!

楓:フォロワーさんからオススメを聞かれることも増えてて。みんな、家の時間を楽しむ方法を探しているんですよね。

リナ:でも本当は家ばっかりじゃなくて、この季節は代々木公園とか大きな公園でごろごろするのが好きだったのになぁ。

楓:人に会わないことを意識していると、外出も簡単にはできませんもんね。

舞:NYでもそんな感じ。だから私は家での筋トレと料理ばかり。この前も、チュロスに挑戦しました。

リナ:#DisneyMagicMomentsのレシピですか?

舞:そう!今は一流レストランやシェフがレシピを公開してくれて、レパートリーがどんどん増える!苦しい状況にもかかわらず、技術を提供してくれていることに感謝しかないです。

楓:こういう状況だし、実は久しぶりにYouTuber の活動を再開しようかと思っているんです。

舞:えっ!楓ちゃんのファッション動画すごく見たい!

楓:うれしいです!配信動画なら家でも撮影できるし、YouTube 全体の視聴数がとても増えているから需要もありそう。こんな時だからできることはやってみようって思ってます。

古い慣習に縛られないもっと明るい未来へ

舞:この状況が新しいテクノロジーの浸透を後押ししている面もあるよね。残るはハンコくらいか……。

楓:でも、普段なら捺印と郵送が必要だった契約書が次第に、クラウドサインでもOKになってきましたよ。本音を言うと、それなら最初からクラウドサインにしてよ!って(笑)。ただ、この雰囲気ならハンコ文化を倒せるかもしれませんよ!

舞:これを機に古い慣習も変わっていったらよいよね。BLAST.inc ではどう?

リナ:実はコロナ禍以前から、リモートワークを実施しているんですが、まだ改善の余地があるかな、と。たとえばテレカンは移動時間が省けて効率的な一方で、長時間のリモートワークは少しの行き違いでミスが起こったり、そのせいで双方のフラストレーションも溜まりやすくなっちゃったり。対面で生まれていた非言語コミュニケーションの大切さも実感しています。

舞:なるほど。場所にとらわれないのは魅力だけどね。NYからも仕事しやすくなりました。

リナ:いろいろな物事の、良い面と悪い面が明らかになってきた気がします。それにしても、この状況はいつまで続くんでしょうか……。

舞:それは誰にもわからないけどでも、「大変だったね!」って笑いながらこの連載を見返せる日がいつか来ると信じてる。

リナ:そうですね。その時はまた、みんなでご飯を食べに行きましょうね。

【プロフィール】
大久保 楓/元YouTuber。現アパレルブランドLOLIPOPKNIFEクリエイティブディレクター。1999年生まれ。SNS総フォロワー数10万人を超える。18歳での起業も話題に。

石井リナ/BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント。1990年生まれ。『Instagramマーケティング』共著。現在は起業し、動画メディアBLASTの運営を行う。

塩谷 舞/milieu編集長。1988年生まれ。東京とニューヨークの二拠点生活中。大学在学中に『SHAKEART!』創刊。Webディレクター・PRを経てフリーランス。

◆ケトルVOL.54(2020年6月15日発売)

【関連リンク】
ケトルVOL.54

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

筆者について

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

しおたに・まい。milieu編集長。1988年生まれ。東京とニューヨークの二拠点生活中。大学在学中に『SHAKEART!』創刊。Webディレクター・PRを経てフリーランス。

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

いしい・りな。BLAST Inc. CEO/SNSコンサルタント。1990年生まれ。『Instagramマーケティング』共著。現在は起業し、動画メディアBLASTの運営を行う。

塩谷舞 × 石井リナ × 大久保楓

おおくぼ・かえで。元YouTuber。現アパレルブランドLOLIPOPKNIFEクリエイティブディレクター。1999年生まれ。SNS総フォロワー数10万人を超える。18歳での起業も話題に。

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