クリストファー・ノーラン監督 人生最大の転機をもたらした弟のアイデア

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現在『TENET テネット』が公開中のクリストファー・ノーラン監督は、これまで数々の名作を世に送り出してきた世界的ヒットメーカーですが、成功の背景には弟の存在があったのをご存知でしょうか。

弟のジョナサンは、アメリカの人気TVシリーズ『ウェストワールド』の脚本家として知られ、兄のクリストファー・ノーランと共同で『ダークナイト』や『インターステラー』などの脚本も執筆。幼少期から兄の影響で映画ファンとなり、「黒澤明や千葉真一の映画を観て育った」と語るほどの日本映画フリークでもあります。『バットマン・ビギンズ』におけるヴィランの秘密結社の名前や見た目が、「影の軍団」(千葉真一が主演したテレビ時代劇)にそっくりなのも、彼の千葉真一好きが反映されているのかもしれません。

そんなジョナサンは、兄の人生に大いなる転機をもたらした人物でもあります。自主制作の初長編『フォロウィング』が評判となり、次回作の構想を練っていた兄に、作家を志望していたジョナサンは、執筆中の短編小説について話しました。

それは大学時代に心理学の講義で聴いた「見聞きしたことをすぐに忘れてしまう症例」にヒントを得たストーリー。そこにいままでになかったサスペンス映画のアイデアを感じ取った兄は、弟の許可を得て、これを新作映画の脚本として膨らませます。それが「10分しか記憶が保てない男の復讐劇」である『メメント』となったのです。

同作はわずか11館の上映で始まったものの、口コミから人気が爆発。アカデミー賞にもノミネートされました。この成功を受けて、ついにノーランは次作『インソムニア』でメジャーデビューを果たしました。ノーラン躍進のきっかけは、兄弟の絆からもたらされたのです。

◆ケトルVOL.56(2020年10月15日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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