広く読まれ、議論となった論考を編集 『日本大衆文化論アンソロジー』

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日文研の大衆文化研究プロジェクトが編集を手掛けた『日本大衆文化論アンソロジー』(太田出版)が、2月5日(金)に発売される。

この本は、いわゆるアカデミックな論文ではなく、実際に大衆に読まれ、議論を巻き起こしてきた論考を中心に編集。収録論文そのものが、日本大衆文化の到達点としてあるものばかりを厳選し、大学生の教材としてだけでなく、一般読者にも読みやすい形でまとめたアンソロジーだ。

同書は、「日本大衆文化の原理と美学」「運動する大衆・動員される大衆」「群れとしての作者文化的主体としての〈大衆〉」「同時代の日本大衆文化論」「都市空間と民俗文学」の5章で構成。著者人には、柳田国男、加藤周一、小林秀雄、吉本隆明、鶴見俊輔、折口信夫、大宅壮一、夏目漱石、手塚治虫、山崎正和、司馬遼太郎、陳舜臣、坂口安吾、江藤淳ら、錚々たる知識人たちの名が並んでいる。

取り上げているのは、マンガ、芸術、ごろつき、判官贔屓考、一億総白痴化、口承文芸、国民歌謡、紙芝居、変貌する都市のコスモロジーなど、多角的に大衆文化を網羅。近代以降の日本の幅広いポピュラーカルチャー、大衆文化を理解するのに必読な論考・対談等30篇が収録されている。

編集を手掛けた日文研は1987年に設立。日本文化を国際的な視野で、学際的かつ総合的に研究する研究機関で、所長の井上章一(風俗史)以下、専任教授に大塚英志(まんが表現史、近代文学研究)、准教授に磯田道史(日本史学)、助教に呉座勇一(日本中世史)などが所属している。

日文研大衆文化研究プロジェクトは、2016年より小松和彦(日本の文化人類学者、民俗学者。国際日本文化研究センター名誉教授・元所長)を中心に、6年計画で展開したチーム。伊藤慎吾(中世文学・妖怪研究)、内田力(史学史)、佐野明子(アニメーション研究)、大塚英志(まんが表現史、近代文学研究)らが編集委員を務めている。

『日本大衆文化論アンソロジー』(太田出版)は2021年2月5日発売。1800円+税。

【関連リンク】
日本大衆文化論アンソロジー-太田出版

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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