クイック・ジャパン vol.101 のコンテンツ

僕たちは<震災直前>を生きている

2012.4.05 | 2012.8.01 updated

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特集 僕たちは<震災直前>を生きている。

およそ3ヵ月前。直接的な被害を受けなかった地域において、震災はもはや「過去の出来事」となりつつあった2012年1月下旬。東京大学地震研究所が報告した「今後4年以内に首都圏でM7級の直下型地震が70%の確率で発生する」という研究結果は、東京やその近郊で、少なくとも表面上は平静な日常を過ごす僕たちに、新たな脅威の存在を知らせた。
その後、数字は「50%以下」に下方修正されたものの、確率としては決して低いわけではない。天気予報で「50%の確率で雨が降る」と言われたら、人は傘を持って出かけるだろう。
だとすれば、僕たちは今、〈震災後〉を生きているのではなく、〈震災直前〉を生きている――そう考えたほうが自然だ。

あらゆる表現者にとって、2011年の最も大きなテーマは「震災という現実の過酷さに対して一体何が出来るのか」ということだった。では、3.11から一年が過ぎた現在、すでに起こった震災へのリアクションとしてではなく、僕たちがたった今生きている2012年というこの現実に対して、表現者は何を感じ、何を創造しようとしているのか。
もし今が〈震災直前〉なのだとしたら、僕たちには一体何が出来るのか。

実際にこれから大地震が起きようと起きまいと、自分自身を〈震災直前〉に置くこと。
リニューアル新装刊となる今号は、その位置から始めたいと思う。
(文・藤井直樹)