写真史を問いなおす、ユニークな展覧会

カルチャー
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現在、IZU PHOTO MUSEUM(静岡県長泉町・クレマチスの丘)でユニークな展覧会が開催されている。

「時の宙づり―生と死のあわいで」展は、国際的に注目を集める写真史家のジェフリー・バッチェンによって企画された写真展で、展示されているのは「作家」による「作品」としての写真ではなく、無数の無名な人々によって撮影された記念写真・ポートレイトなどの”ヴァナキュラー(ある土地に固有の)写真”。日本の美術館では普段見ることが難しい19世紀の額入りダゲレオタイプ(銀板写真)や写真ジュエリーなど、300点以上が展示される。

本展は2004年にバッチェン氏が企画し、ヨーロッパ各地とニューヨークを巡回した「Forget Me Not: Photography and Remembrance(私を忘れないで:写真と記憶)」展の続編的な内容で、写真と時間の関係をテーマにしたもの。展示は、個人の遺髪と一緒に保存された遺影やロケットなどの装身具に収められた写真など、いずれも日常生活に密接しながら「生と死のあわい」に浮かぶ写真群に焦点が当てられている。

通常の写真史では取り上げられることのない”ヴァナキュラー写真”の展示は、美術館や写真史という制度を問いなおしながら、見る人を豊かな鑑賞体験に誘う。

2010年4月3日(土)から8月20日(金)まで。入場料は一般800円、学生400円。

【関連リンク】
http://www.izuphoto-museum.jp/exhibition/5337331.html

※写真は展示風景。

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。