『月と蟹』で直木賞受賞の道尾秀介氏 賞金全額寄付

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3月11日、新雑誌『ケトル』編集部では、「直木賞作家・道尾秀介氏が、思い入れの強い殺人現場を自著から選び、道尾さん自身に演じていただく・・・」という撮影を予定していた。しかし、撮影開始予定時刻の約1時間前に震災が発生。そこで急遽企画が変更され、

「まったく営業できていない被災地の書店も多いはず。水道、ガス、電気と同じように、新たな気づきや知識、そして笑いや感動と出合うことのできる書店もまた、大切なライフラインですよね」

と語る道尾さんに、”1時間だけ”書店員になっていただくことになった。本屋でエプロンをかけ、カバーかけやPOP書きに挑戦した道尾さんは、震災についてこう語っている。

「ツイッターでも避難所からメッセージを下さる読者がたくさんいるんです。もう他人事には思えなくて・・・。直木賞の(副賞として戴いた)賞金も全部寄付しました。全国の、そして被災地の皆さんにも支えられて戴いた賞ですから、それが最も綺麗に収まると思って。でも、作家にできる唯一の恩返しは、いい本を書くことだけなんです」

そして、道尾さんは

「(震災が)ぜんぶ落ち着いたときには、必ず最高傑作をお届けすることをお約束します。いい原稿を書こう」

と述べている。

※『ケトル』 Vol.00

【関連リンク】
ケトル Vol.00-太田出版
道尾俊介-Twitter

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。