京都では家の玄関先に“ちまき”をぶら下げる?

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4月13日発売の雑誌『ケトル』は、特集のテーマとして京都をピックアップ。「京都が大好き!」と題し、京都市内の気になるスポット、お店、食べ物、文化、風習などを紹介している。今回取り上げるのは、“ちまき”。京都の街では、“ちまき”が軒先にぶら下げられている…!?

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京都の街を歩いていると、民家の玄関先に“ちまき”が下げられている光景を見ることができる。その名も「ちまき」と呼ばれる笹飾りは、“ちまき”とはいっても食べ物ではなく厄よけのお守りで、祇園祭の期間にだけ市内の山鉾のお会所や八坂神社で販売されるもの。

その昔、蘇民将来という貧しい男の家を訪れた八坂神社のご祭神・牛頭天王が、精一杯もてなしてくれた蘇民へのお礼に、「お前の子孫は末代まで病気や災いから護ってあげる。目印に“茅の輪(茅巻き)”をつけておきなさい」と残して去ったという逸話が由来で、“茅巻き”と同じ発音の「粽(ちまき)」にかけて、三角形の粽形をしている。

山鉾とは祇園祭の山車のことで、様々な山鉾が洛中を巡る「山鉾巡行」は祇園祭最大の見どころとなっている。すべての粽には「蘇民将来子孫也」の護符が収められており、これは言うなれば「うちはあの蘇民将来の子孫なんで!」と疫病神に先手を打つという作戦。粽は1年間軒先に飾り、翌年の祇園祭で新調するのが決まりだ。

注目したいのは、山鉾ごとに粽の効き目やデザインが違うこと。例えば、赤ちゃんの夜泣き封じに効くのは「八幡山」、親孝行には「孟宗山」、女子は、恋物語にちなむ「保晶山」の粽で縁結びと、お会所の地域を問わず、各々の家庭でお悩みに対処している。護符も、色や形が違ったり、梅や桜の花飾りや金色のカマキリがついたものがあり、コレクター魂が騒ぐものばかり。中でも「函谷鉾」の粽は、購入すると鉾に乗せてもらえるそうだ。

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。