鈴木おさむ 妻の中学時代のいじめ体験をモチーフに小説執筆

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放送作家・鈴木おさむの小説『美幸』が1月に上梓された。この作品は、妻である森三中の大島美幸が中学時代に受けた猛烈ないじめがモチーフとなった、悲しくも美しい恋愛小説。2月12日発売の『クイック・ジャパン』vol.112で鈴木は、『美幸』についてこのように語っている。

「『美幸』は、うちの奥さんが中学時代に猛烈ないじめを受けていて、いじめを受けていた人ってこういう大人になるんだなっていう発見がベースになっています。奥さんは芸人という職業を見つけたから、その体験をガソリンにしてうまく回せてますけど、その時のトラウマってふとした時に出るんですね。奥さんにとっていじめに対する怒りや復讐は生きるモチベーションにまでなっている。実際作中に出てくる笛を小便につけるエピソードは奥さんの実話ですし」

作中では、エロいグロい商材のDMを会社の当人宛てに送る“エロDM法”など、どこかユーモラスながらも、リアルで怖い復讐法も登場する『美幸』。鈴木は、「復讐の中に美幸という人間の躍動感が伝わってくる」と、『美幸』を評するが、決していじめを肯定しているわけではない。

「残酷ですよね。リセットできないんですよ、人生を。大人で、しかも東京に住んでいるのなら、たとえば会社で嫌なことがあっても会社辞めて引っ越せばリセットできる。学生時代はそれが許されないから、起きたことは刻印のように体に刻まれてしまうんです」

そう語ったものの、「実際にいじめられた経験のある人がこれを読んだら?」という質問には、「痛いと思います」と即答した鈴木。しかし彼は、「こんなことはそう簡単に言っちゃいけないのかもしれないけど、復讐しちゃえばいい。笛を小便につけてやればいい。耐えて壊れるくらいなら、復讐するほうがポジティブに生きられると思うから」と、メッセージを送っている。

◆『クイック・ジャパン』vol.112(2014年2月12日発売/太田出版)

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『クイック・ジャパン』vol.112

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。