辞書のペラペラの紙 子ども用と大人用で紙質と色合いが異なる理由

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今日から新年度が始まります。新たな学年を迎える学生たちの中には、辞書を買ったり、プレゼントされたりした人も多いでしょうが、思えば辞書の紙は、何であんなにペラペラで、なおかつ丈夫なのでしょうか? 有名辞書の紙をたくさん扱っている王子エフテックス株式会社印刷特殊紙営業部にお話を伺いました。

「辞書の紙は、もともとタバコのライスペーパーと呼ばれる、タバコの葉を巻く薄い紙を作る技術から派生して開発されるようになったんです。紙は基本的に2種類のパルプを配合させて作られています。ひとつは松などの針葉樹。強度があるという特徴があります。もうひとつはユーカリなどの広葉樹。こちらは均一性に優れています。これを紙の用途によって配合を変えて紙は作られます。辞書も同じで、出版社さんごとに最適な配合を常に模索しながら、薄くて強い紙を作っています」

例えば岩波書店の『広辞苑』の場合、改訂のたびに掲載する単語が増え、それにともなってページも増えるため、紙の厚さを薄くしたり、同じ厚さでいかに軽くできるかという技術開発が盛んに行なわれているのだそう。また紙質や色合いにもこだわりがあるようだ。

「辞書は子ども用と大人用で紙質と紙の色が違うんですよ。子ども用の辞書は白い色の紙で、紙も少し厚いです。大人用の辞書はクリーム色の紙が使われ、紙の厚さも薄い。これは、子ども用は他に赤色など2色を使って賑やかにすることによって、少しでも辞書に馴染んでもらうのと、子どもは荒く使うので、折れなどを最小限に防ぐ意図があると思います。一方で大人は落ち着いた目に優しい色ということで、紙の厚さも単語を少しでも多く収録できる薄いものを採用している場合が多いです」

辞書、紙はペラペラでも、こだわりは相当なものがあるようです。

◆ケトル VOL.23(2015年2月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。