みんな大好きな「缶詰」 当初はその製法から何と呼ばれていた?

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スーパーの缶詰売り場を訪れると、それこそ星の数ほどの缶詰が並べられていますが、“缶詰の究極形”と呼ぶべき存在が、「イワシ類=サーディン」を油に漬けたオイルサーディン。シンプルだからこそ味も歴史も奥が深いオイルサーディンにまつわるトリビアを紹介しましょう。

現存する世界最古の缶詰会社であるポルトガルのラミレス社(創業1853年)の看板商品は、フランクフルトのように太いイワシを使ったオイルサーディン缶です。漁業が盛んなリスボンでは、毎年6月のお祭りでイワシの塩焼きを振る舞うのが恒例になっているくらい、イワシは身近な存在。オイルサーディン缶ももはや生活の一部なのでしょう。

日本初の缶詰は、開国直後の明治4年、長崎の松田雅典氏が作ったイワシの油漬け缶でした。日頃から海外食品に興味津々だった松田氏はある日、長崎フランス領事館に赴任中の医師・レオン・デュリーが食べていたイワシの油漬け缶に衝撃を受け、早速製造法を習って作り始めることに。海外への好奇心が日本の缶詰を生んだのです。

日本の缶詰の生みの親である松田氏は、缶詰のことをその製法から「無気貯蔵」と呼んでいましたが、その後「缶詰」と呼ぶようになりました。

香川県小豆島の名産品がオリーブになったのは、明治41年、輸出用のオイルサーディン缶を国内自給するため、農商務省が小豆島ほか国内4か所でオリーブ植樹を始めたことがきっかけでした。日清・日露戦争に勝利し海洋技術が発達する中でイワシの漁獲量が上がり、オイルサーディン缶は輸出品の代表的存在となっていたのです。

◆ケトル VOL.25(2015年6月13日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。