コンビーフの缶詰 一度丸い缶で発売するもそれほど売れなかった

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お肉ぎっしりの贅沢感を誇るコンビーフ缶は、どんなグルメ缶詰が登場しても負けることがない缶詰界の王者ですが、コンビーフ缶が特別感を生むもう1つの理由が、唯一無二の台形型の缶。あの形状ひとつをとっても、様々な知恵と工夫が詰め込まれているのです。

まず、コンビーフ缶があの台形型になったのは、肉を真空状態でギュウギュウに詰めて酸化するのを防ぐため。現在は真空にする技術が確立され、実は他の缶詰と同様に円形の缶でも問題ないのですが、台形のイメージが強すぎるためか、野崎産業が一度丸い缶で発売してみたものの、それほど売れなかったのだそうです。

他の缶詰とは一線を画すコンビーフ缶は、そのパーツひとつひとつに符丁があります。開缶する鍵型の金具は「巻き取り鍵」、巻き取り鍵を引っかけるツメの部分は「ノッチ」、巻き取る部分は「帯」。そして特徴的な形は、昔お殿様が使っていた枕に似ていることから「枕缶」と呼ばれます。

枕缶を考案したアメリカのリビー社は、安全な缶切りがまだ普及していなかった当時、一般の消費者が手を切らないよう巻き取り鍵を採用したといわれています。形を崩さず中身を取り出し、スライスしやすいようにというのも理由のひとつ。さらにノザキの場合は、巻き取りやすいよう通常の缶詰よりも薄い0.1ミリのブリキを使用しているそうです。

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。