タバコを知れば犯人が分かる 名探偵ホームズが「タバコの灰」に拘る理由

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刑事コロンボ、金田一耕助、工藤新一(江戸川コナン)……「名探偵」と呼ばれるキャラクターは多数存在しますが、古今東西ナンバー1の知名度を誇る名探偵といえばシャーロック・ホームズをおいて他にないでしょう。シリーズを通して、ホームズは知識と観察に基づいた推理の大切さを説き続けていますが、あらゆる分野の知識を持ち、現実を丁寧に観察することは、実際にどんな風に役立つのでしょう?

もっとも有名なのは「タバコの灰」に関するホームズの研究でしょう。『四つの署名』でホームズは、「各種タバコの灰の鑑別について」という自身の論文を紹介しています。そこでは140種類のタバコの外観と灰の種類が収められており、この知識さえあれば、現場に残された吸い殻や灰から、犯人像が浮かび上がってくると言うのです。

くれぐれも「たかがタバコ」と思うなかれ。タバコのような嗜好品には、その人の習慣が反映されています。この銘柄が好きなのは確率的に男性が多い、匂いが強めの品種なら接客業ではないだろう、あるいはそもそも国内で売っている銘柄ではないので、外国人か、つい最近海外を旅行したはずだ、という具合です。事件現場にタバコの灰があるだけで、それだけのことがわかるのです。

そんなホームズ自身、朝食前にパイプを吸う習慣がありましたが、もったいなかったのか、前夜の吸い残しの葉っぱを詰めていました。当然、味はかなりまずいはず。そのエピソードから「ホームズは味音痴」という説も生まれています。

◆ケトル VOL.29(2016年2月12日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。