仮病で会社を休みたければ、常日頃から病人を観察すべし?

スポンサーリンク

新年度が始まってようやく1週間。今年社会人になった新入社員の中には、早くも出社に対する拒否症状が出始めている人もいるのではないでしょうか。そんな時、つい頭をよぎるのが「仮病」。決してやってはいけない禁断のテクニックですが、かの名探偵・シャーロック・ホームズは、仮病に関しても一流でした。

仮病を使ってでも、どうしても休みたい──正直、誰もが一度はそう思ったことがあるでしょう。ただ問題は、仮病は大抵バレるということ。「休むなら医者の診断書を見せろ!」などと言われたら、まずお手上げです。しかしホームズなら仮病で医師だって騙せます。『瀕死の探偵』で衰弱しきった病人のフリをして、見事に医師であるワトスンを騙しているのです。

仮病もホームズの手にかかると、「熱がある」「気持ち悪い」くらいではすみません。3日間にわたって何も口にせず、頬はこけて骨と皮ばかり。その上からうっすらと化粧をして、血の気が引いた病人になりきります。さらにまったく意味不明なことを時々口走ることで、精神が錯乱したフリまでする徹底ぶりです。

実際に触診されると仮病を見抜かれるので、ワトスンの知らない伝染病だと主張して近寄らせませんでした。「それでも構うものか」とワトスンが訴えるシーンは、2人の厚い友情を感じさせる名場面です。

これだけ完璧に仮病を演じられたのも、ホームズが日常的に病人を観察し、その振る舞いを記憶していたから。ワトスンに真相を明かしたあとには、「仮病について、いつか小論文にまとめてみたい」とまで語っています。もし仮病で休むつもりなら、いつも病人をしっかり観察しておくこと。付け焼き刃では、かえって怒られることは必至でしょう。

◆ケトル VOL.29(2016年2月12日発売)

【関連リンク】
ケトル VOL.29

【関連リンク】
シャーロック・ホームズの鹿撃ち帽 小説に一度も登場せず
タバコを知れば犯人が分かる 名探偵ホームズが「タバコの灰」に拘る理由
五郎丸ポーズで注目されたルーティン シャーロック・ホームズも実践?
なぜすぐに答えが? シャーロック・ホームズに学ぶ「知識と観察と推理」

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。