『ピタゴラスイッチ』のピタゴラ装置 74テイク撮り直ししたことも

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昨今“テレビ離れ”が叫ばれるなか、視聴率戦争とはある意味で無縁なのが「Eテレ」。しかしそんなEテレも、本当に面白い番組を作るための努力はまったく怠っていません。Eテレの本気度を示す数字を紹介しましょう。

【316本】
よりよい教育を届けたくて、世界を巻き込んでいます。NHKは1965年、教育番組のための国際番組コンテスト「日本賞」を創設。世界中から教育・教養番組を募集し審査する、そのワールドワイドなチャレンジの様子や受賞作品は、Eテレで放送されています。過去には『セサミストリート』や『テレタビーズ』などの名作を発掘した日本賞。2016年は58の国と地域から316本の作品がエントリー。チャレンジいっぱいの教育番組に注目です。

【1368人】
NHK放送文化研究所では「子どもに良い放送プロジェクト」と題して、子どもとテレビとの関係を調査。川崎市で生まれた赤ちゃんたちが小学校を卒業するまで、なんと12年間毎年アンケートを実施しました。第1回(2003年)は1368人の子どもの保護者が協力。その結果、0~4歳の子どもが最も視聴している局は、5年連続Eテレが1位だと判明。ここまで徹底的にやる精神が「人はEテレで初めてテレビに触れる」という事実を導いたのです。

【74回】
『ピタゴラスイッチ』といえば、ビー玉が日用品で作ったからくり装置の中を転がり、ゴールに到達するピタゴラ装置が有名ですが、実はこのたった数十秒の映像を撮影するために、制作チームは5日間の「装置合宿」を敢行しています。わずかでもレールの角度が変わったり、接着の具合が狂ったり、失敗するとまた一からやり直し。過去には74テイクも撮り直したこともあるそうです。子どもも大人も魅了するあの数十秒間は、たゆまぬ努力と挑戦の賜物でした。

【1100曲】
『名曲アルバム』は名曲を5分に編集し、ゆかりの地の映像とともに紹介する優雅な音楽紀行番組。1976年に始まり、現在までに1100曲以上を紹介してきましたが、実は2人のスタッフが50日間の海外ロケで15曲分の映像を一気に撮影する超過酷ロケで制作しています。天候の悪化や撮影予定地の工事など、ロケは挑戦の連続。しかしその苦労を1ミリも感じさせない完成度。そのストイックすぎる姿勢が、きっと40年愛される理由です。

◆ケトル VOL.34(2016年12月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。