ジャッキー・チェンがアニメで活躍 CGが切り拓く新境地

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1998 年のハリウッド映画『ラッシュアワー』の成功により、アメリカでも大スターとなったジャッキー・チェンは、親が安心してわが子に見せられる作風であることから、子供からも爆発的な人気を得ました。その結果、子供向けのテレビアニメシリーズにも声優として出演するようになります。

日本ではDVD が発売されておらず、あまり知られていない作品ですが、2000年にはアニメ『ジャッキー・チェン・アドベンチャー』に出演し、マーシャルアーツの達人である考古学者「ジャッキー・チェン」(本人をキャラクター化したもの)の声を吹き替えています。

ジャッキーが特殊機関のシークレットエージェントとして、謎の犯罪組織や古代の魔人たちと戦いを繰り広げる同作。『インディ・ジョーンズ』のような冒険もののスペクタクルと、ジャッキーの持ち味であるコミカルなカンフーアクション、そして『スパイ大作戦』のような設定が融合した意欲作で、第5シーズン(2005年)まで制作される人気シリーズとなりました。

しかも、このアニメをモチーフにしたゲーム(ゲームボーイアドバンス版とプレイステーション2版がある)まで作られています。その後は世界で600億円以上も稼いだ大ヒットアニメ『カンフー・パンダ』シリーズにも声優として出演。ジャッキーは子供たちのヒーローという新しい地位を世界中に浸透させていきます。

◆声優だけでなくアニメの武術指導まで

とはいえ、『カンフー・パンダ』の英語版では、脇役であるマスター・モンキーを演じたために、決して出番が多くはなかったジャッキー。中国語版ではもともとダスティン・ホフマンが演じていた準主役のシーフー老師を吹き替えていますが、これはあくまで中国市場を狙ってのこと。世界を狙ったアニメ映画でメインどころの役を得たのは、つい最近のことでした。それが日本でも昨年9月に全国公開された映画『レゴ ニンジャゴー ザ・ムービー』です。

忍者を題材にしたレゴのシリーズをもとにしたテレビアニメが原作で、ジャッキーはメインキャラクターたちの師匠・ウー先生を演じています。実はもともとのテレビシリーズでは、ウー先生を別の俳優が吹き替えていました。それだけにジャッキーは当初、このオファーに驚いたそうです。

もちろん映画版でジャッキーがキャスティングされたのには理由があります。同作でジャッキーは、声優としてだけでなく、武術指導としてアクションシーンの振り付けも担当しているのです。本格的なカンフーをアニメで再現したいという制作者たちの熱意によって実現したオファーでした。

◆ジャッキーアクションがそのまま再現される

ジャッキーが自身のスタントチームと一緒にアクションの振り付けを考え、それをモーションキャプチャーで取り込み、CGアニメとして再現する。そんなことが『ニンジャゴー』では行われています。これはジャッキーファンにとっても新しい可能性を感じさせる挑戦でした。

残念ながらジャッキーはすでに還暦を過ぎ、若い頃と同じようなスピーディーなアクションが難しくなってきています。しかし、CG アニメという方法ならば、ジャッキー本人のキレのあるアクションを“新作”で楽しむことができる。アニメはジャッキーにとって、子供向け以上の意味を持つジャンルになったのです。

◆ケトル VOL.40(2017年12月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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