ヒットの秘訣は想像? 「北の国から」と「スター・ウォーズ」の共通点

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1981年にスタートし、足かけ20年以上も続いたドラマ『北の国から』は、豊かな大自然をバックに繰り広げられる人間模様が視聴者を惹きつけましたが、初めて見た人は、入り組んだ人間関係に戸惑ってしまうかもしれません。

倉本聰さんがドラマを執筆する際には、登場人物の詳細な設定を作ることが有名。生まれた住所や恋愛遍歴まで細かく考え、土台として活用するそうです。しかしそのすべてがドラマ内で描写されるわけではないため、物語を追っているだけでは「?」な点もしばしばです。

例えば北村草太(岩城滉一)は五郎(田中邦衛)のことを「おじさん」と呼びますが、2人の正確な関係性は説明されません。倉本さんの設定によると、五郎の父親の姉が清吉(大滝秀治)の母親であり、清吉と五郎は従兄弟同士。そんな清吉の息子である草太にとって五郎は要するに「親戚のおじさん」なのだとか。ほかには令子(いしだあゆみ)と雪子(竹下景子)が異母姉妹であることも、設定が明かされてから判明した事実でした。

近年の映画界では、『スター・ウォーズ』や『アベンジャーズ』シリーズのように、登場人物に細かい設定を付け、物語に出てこない部分まで観客に想像させることがヒットの秘訣といわれています。「この部分はああじゃないか」「あのセリフはこんな意味じゃないか」とネットを通じてファンに語り合ってもらうことで、その作品がますます話題になっていくのです。

倉本さんが「北の国から」の企画を立ち上げたのはネット時代が到来する以前のことですが、その創作姿勢は、現代の大ヒット映画にも通じるものがあります。だからこそ、今でも多くのファンが「語りたくなる作品」であり続けているのではないでしょうか。

◆ケトル VOL.41(2018年2月14日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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