野外フェス『TAICOCLUB』が12年の歴史に幕 主宰者が見据える「その先」

カルチャー
スポンサーリンク

2018年6月、野外ミュージックフェスティバル『TAICOCLUB』が、12年の歴史に終止符を打った。なぜフェスは惜しまれながらも終了することになったのか? 同フェスを日本有数の野外音楽フェスティバルへと育てたオーガナイザーの安澤太郎は、2018年6月15日発売の『クイック・ジャパン』vol.138で、こう語っている。

「確かに継続して欲しいという声はいただいていて。ぶっちゃけていうと、僕と分かれたメンバーがこれからも『こだまの森』で地域の方々とイベントを続けていくことになると思います。村側としてもそれは喜ばしいことだし、僕もそれはよかったなと思ってて。

ただ、僕としては村の若い子たちが『これからは自分たちでなにかやりたい』となるのが理想だったんですよね。実際は村に若者があまりいないというのもあるし、僕がもう少し投げかけていたらよかったのかもしれないけど、そこは12年間でなにもできなかったなって」

『TAICOCLUB』は、2006年に長野県木祖村こだまの森でスタートし、12年間にわたる歴史の中で、日本有数の野外音楽フェスへと成長した。その立役者である安澤は、この先、どんなことを企てているのか?

「今は『作る側』と『見る側』が完全に分かれているけど、実際は自分たちで全部できると思うんです。それこそ音楽イベントも自分たちで好きなアーティストを呼んじゃえばいいし、その開催地もライブハウスとかじゃなくていい。むしろ、今なにもないところに楽しめるものを作ったほうがいいし、それこそ『お客さんと演者』みたいな関係性を壊せるような場所がいいですよね。

今まではクリエイティブなことなんて全然できないと思ってた人が、そこに行くことで『自分にもなにかできるかも』と思えたりすることが、きっとこれからのボトムアップになると思う。自分はそのプラットフォーマーになっていきたいんです」

フェスのオーガナイザーではなく、もっと小規模の自主的なイベントを増やし、「そういう小さいことを重ねていった先に大規模なフェスとかをやれたら、きっと今のフェスとはまったく違う濃度のお客さんが集まるんじゃないかな」と、夢を語る安澤。『TAICOCLUB』というイベントは惜しまれつつも終止符を打ったが、まだまだ彼の周りでは面白いことが起きそうだ。

◆『クイック・ジャパン』vol.138(2018年6月15日発売/太田出版)

【関連リンク】
『クイック・ジャパン』vol.138

【関連記事】
綾小路翔 「自ら主催の氣志團万博で大儲け」の噂を完全否定
『ULTRA JAPAN』手がける小橋賢児 フェスで伝えたい本当の体験とは?
岡崎体育 いまだに実家暮らしを続けるのは周到な戦略?
メタリカと遭遇したBABYMETAL 「普通のおじさん」の感想をライブ観て撤回

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

関連商品