音楽の売り方や聴き方は激変した
音楽の売り方や聴き方は激変した
音楽と動画

音楽の流行の発信源がネットになり、売れるカギはどう変化した?

Amazonより
『ケトル VOL.44』 SPANK HAPPY、いしわたり淳治、ダースレイダー、ヒャダイン(前山田健一)、後…ほか

インターネットの普及によって起きた変化を挙げればきりがありませんが、音楽はとりわけ大きな影響を受けたジャンルの1つ。ゼロ年代は音楽の売り方や聴き方だけでなく、音楽との出会い方まで変わりました。その変化をもたらしたのは、私たちが接するメディア環境の劇的な変化です。

90年代からゼロ年代の初期にかけて、音楽業界における最大のプロモーション媒体はテレビでした。どのテレビ局も平均視聴率が今よりもずっと高く、『HEY!HEY!HEY!』や『うたばん』といった人気音楽番組を毎週たくさんの人々が観ていました。だから、そういった高視聴率の音楽番組に露出することは、ミュージシャンにとってブレークの近道だったのです。

しかしゼロ年代の後半になり、SNSが普及し始めると事情が変わってきます。「みんなが観る音楽番組」の価値が減少していった代わりに、マスメディアの影響に頼らずとも、アーティストがファンに向けて直接情報を届けることが可能になり、そこからムーブメントを作っていくこともできるようになってきました。新しい音楽との出会いがテレビからではなく、ネットからもたらされるようになったのです。

海外では、音楽との親和性の高さでMySpaceがブレークしましたが、日本上陸時にはmixiという先行者がおり定着しませんでした。その代りに日本で流行の発信源となったのがニコニコ動画やUstreamといった動画配信サービス。それまで無名だったバンドが、ニコニコ動画やUstream で自身のパフォーマンスを披露し、そこで話題になることでライブの動員につなげていくといったことも起こるようになっていました。

そんな時代にアーティストに求められたのは、ファンのひとりひとりと向き合うコミュニケーションの親密さです。SNS上ではアーティストもファンも立場が対等なので、“カリスマ性”よりも身近さや共感といった“アイドル性”のようなものが重要になっていきます。これは日本におけるSNSの普及と、親近感をウリにするアイドルのブーム復活が年表上できれいに重なっていることからも裏付けられるでしょう。

◆ケトル VOL.44(2018年8月17日発売)

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