オカダ・カズチカ レアル・マドリードに自分の姿を重ねた瞬間

スポンサーリンク

今年、IWGPヘビー級王座の「V12」を達成したオカダ・カズチカ。前人未到の記録で新日本プロレスの歴史にその名を刻んだ彼ですが、来年1月4日の試合は、東京ドームでは実に7年ぶりとなるノンタイトル戦になりました。対戦相手は、今年、ケニー・オメガや棚橋弘至、そしてオカダなどから勝利を上げたジェイ・ホワイトですが、試合にはどう臨むのでしょうか? 「ケトルVOL.46」でオカダは、「ドームとしては物足りないカード」と断りつつ、こう語っています。

「これでまたジェイが勝ってしまったら、一気に勢いがつくと思うんですよ。格としては自分のほうが上ですが、かつての僕も『まさか勝てるわけない』とお客さんから思われていた。だから、決して気は抜けないですね」

かなり久しぶりのノンタイトル戦となるものの、「モチベーションは落ちてはいない」と語るオカダ。そんな彼は一時期、実績を重ねれば重ねるほど、観客のブーイングを集めるという異例の事態に晒されたことがありました。勝って愛されるのではなく、勝ってブーイングされる。その結果、「強すぎてごめんなさい」という憎まれ口を叩いたこともありました。当時、心が折れそうにはならなかったのでしょうか?

「チャンピオンとしてブーイングされるようになった頃、テレビでサッカーを観たんですよ。鹿島アントラーズ対レアル・マドリード(2016年のクラブW杯)。あれを観ていなかったら、『なんでブーイングされるんだろう?』と悩んでいたかもしれません」

世界の絶対王者として君臨していたレアルに対し、鹿島が同点のまま延長戦に突入するほどの奮闘を見せた一戦。この試合を観ていた多くの人が大金星を期待しましたが、オカダはあることに気付いたそうです。

「僕も自然と鹿島を応援していました。そのときに気が付いたんですよ。『あ、レアルはオレのことじゃん』って。対戦相手との差が大きいほど、観客は格下を応援したくなる。しかも、確か延長戦になるとレアルが横綱相撲のように最後はしっかりと勝負を決めたんですよ。これも僕に似ている(笑)。

相手がどんどん僕を追い詰めても、最後に(必殺技の)レインメーカーの体勢に入ったら、『ああ……』っていう絶望の声が客席から聞こえますからね。結局、僕がブーイングされるのは強すぎるからなんです。それに気が付いて、これはもうしょうがないってなりました(笑)。だから、『強すぎてごめんなさい』と言ったんです。本当、いいタイミングで観た試合でしたね」

銀河系軍団に自らを重ね合わせるとは、まさに頂点を見た男の発想。ベルトが無い状況についても、

「チャンピオンには威厳がなきゃいけないから、できないことも多いんですよ。今は思いついたことが思いついた瞬間にできる。いい意味で遊んでいますね。その意味ではジェイ戦も僕の遊びの一環です」

と、ポジティブに捉えており、年明けの“イッテンヨン”でも素晴らしいファイトが期待できそうです。

◆ケトルVOL.46(2018年12月15日発売)

【関連リンク】
ケトルVOL.46

【関連記事】
新日1・4東京D大会 鍵を握る「イデオロギー論争」と「裏切り事件」
プロレス大賞MVPの棚橋弘至 「自分が愛おしくなった」意識改革
オカダ・カズチカ 新日本プロレス世界進出への意気込みは?
真壁刀義 長州力に後にも先にもただ1回褒められた日

※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

関連商品
ケトルVOL.46
太田出版