田代まさしが語る「ダルクとの出会い」「薬物をやめるには」 吉田豪が迫る

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7月4日と11日、元タレントの田代まさしがEテレの『バリバラ』に出演して薬物依存について語り、大きな話題となった。幾度にもわたる失敗を重ね、現在は薬物依存症のリハビリ施設「ダルク」のスタッフとして働く田代だが、現在はどんな状況なのか? 吉田豪と掟ポルシェによる雑誌『CONTINUE』(太田出版)の人気コーナー「電池以下」に田代が登場し、7ページにわたり語っている。

冒頭、掟ポルシェが「白い粉を存分に打っていただいて……」と囁きながら手打ちうどんセットを渡し、田代が「やったー、うれしい……コラーッ!」と、ノリツッコミするところからインタビューは始まる。

吉田:しかし、田代さんがダルクに入ってこんなにちゃんと続くと思いませんでしたよ。

田代:いや、俺もビックリなんだよ。いままで出所して3年半後に必ず捕まってるんだから。で、またやり始めて捕まって、今回はまじめにやらなきゃって3年半頑張るんだけど、だいたいそこらへんで「まだこんな状況か……」みたいなところでちょうど向こうからやって来るんだよね。今回初めて出所後ダルクにつながって、やっと5年経つんだよ。でも簡単にスッとやめられたわけでもない。

掟:やっぱりいろいろ寄ってくるんですか?

田代:寄ってくるし、たとえば最初の頃はなるべく芸能チックな活動はしないようにしてたんだけど、「知り合いの社長さんの誕生日なんで」とかって呼ばれたりするじゃん。そうするとチップとかもらうんだけど、そのチップがパケのなかに入ってたりするんだよ。

吉田:えぇーっ!?

田代:「もう勘弁してくださいよ」「気持ちはいただきますけど、次回からパケやめてくださいね」って。なかには塩とか岩塩とかをそれらしく袋に入れて、「ほら、こんなにたくさんあるぞ!」とか言ってくるのもいて。

── 包み隠さずに真実を語る田代。ダルクとの出会いも強烈だったそうだ。

田代:変なイメージがあって最初からダルクを信じてたわけじゃなかったの。怪しい宗教みたいな感じがして、俺、広告塔になっちゃうかもしれないと思って。向こうは俺を利用してるのかもしれないなって。だって何回も言ったように、刑務所から出たその日にダルクにつながって、近藤さん(近藤恒夫氏=ダルクの代表)が出所祝いに連れてってくれたのがしゃぶしゃぶだったから。

吉田:そういうタチの悪いことを仕掛けて。

田代:もうマンガみたいな話じゃん。ここ絶対無理だよ、こんなとこ絶対早く出ないとって思ってさ。それで食い終わったあとに、「次は焼肉のあぶりな」とか言われたの(笑)。

掟:フルコースじゃないですか!

── キツい洗礼を受けたものの、結局ダルクに通うことになった田代。多くの薬物依存者と出会う中で、少しずつ問題解決の糸口が掴めてきたようだ。

田代:みんな薬物だけでそうなってると思ってるじゃん。薬物だけじゃなくて何か原因があって薬物を使ってる人がけっこう多いんだよ。世の中の人は「薬やめなさい」って言うけど、薬を奪っても問題だけが残るから、そこが逆に危険なんだよね。だから統合失調症とかアダルトチルドレンだとか生い立ちとかそういうとこまで深く掘り下げていかないと、薬だけを取り上げても意味がないことだって。

ようやくここ最近で、重要なのは薬をやめることではなくて、どう生き方を変えるのかってことが大事なのかっていうところまでたどり着いたんだけど。近藤さんはいつも「薬物は『やめられません』って言える地域社会じゃないとダメだ、正直な自分を出せる社会じゃないとダメだ」って言ってるんだけど、いまそんなこと言わせない社会じゃん。記者会見で、「誰々さん、もうやりませんね」って言われたとき、「いやぁ、お約束できないんですよ」とは言えないじゃん。ホントは自信ないのに、「もう二度とこんな不祥事は起こしません」って言うしかないの。

── 世間は薬物依存者を“甘え” “意志が弱い人”とみなす傾向があるが、田代は「(日本では)病気だと思ってないから『更生』という」「罰では治らないんだよ。だってそれ治療じゃないじゃん」と、訴えている。近年、1回の失敗で“アウト”になる人間が多いが、だからこそ、何度も失敗を繰り返してきた田代の発言に説得力があるのは皮肉な話。冷たいお茶を勧められ、「あったかいのよりは冷たいのが……やかましいわ、コノヤロー!」(※隠語で覚せい剤のことを「冷たいの」と呼ぶ)とボケられるようになった今、完全に薬から決別しつつあるようだ。

※CONTINUE Vol.60(2019年7月25日発売)

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※この記事は、「太田出版ケトルニュース」に当時掲載した内容を当サイトに移設したものです。

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