『ケトルVOL.51』(プレステ特集/太田出版)
『ケトルVOL.51』(プレステ特集/太田出版)
ゲーム・アニメ・コミック

「見渡す限りゲームの世界」 PSVR没入感の秘密を探る

Amazonより
『ケトル VOL.51』 上田文人、原田勝弘、吉田修平、外山圭一郎、後藤禎祐、押切蓮介、米光一成、速水健朗、隅…ほか

「ゲームの世界を自由自在に動き回る」というプレイヤーの願望を叶える家庭用VR機器・PlayStation VR(以下PSVR)が登場したのは2016年10月ですが、プロジェクトが始動したのは2012年からでした。

きっかけは、海外のゲームプロダクション・ワールドワイドスタジオから「『God of War』用にVRのような世界を実現するデバイスが欲しい」という要望を受けたのが始まりだったそうですが、開発の過程で一番難しかったのは、プレイヤーの没入感を支えるために頭の動きに追随する技術だったそうです。商品企画の高橋泰生さんは、ケトル『VOL.51』でこのように語っています。

「ヘッドセットの後ろにLEDを付け、“PS Camera”というカメラでそのマーキングを見ながら、正確な頭の位置を取れるようにしています。ユーザーがどこを見ても必ずマーカーが見える配置というのを設計しました。また、頭の動きと映像にズレがあると酔いやすくなってしまうので、途中からディスプレイの種類を変更したりしました。遅延を抑えて酔いの要素をできるだけ減らしていけば、それだけ没入感はどんどん増していく。色々な方法で追い込みをかけていきました」

ゲームコンテンツを制作する上でも、VR機器ならではのハードルがありました。PS VRのコンテンツ制作をサポートする秋山賢成さんは、数々のゲーム制作をサポートする中で、プレイヤーの「視線」を特に重視したと言います。

「プレイヤーは360度、自在に見渡すことができます。たとえストーリーモードに入ったとしても、話し手を無視して別の方向を向くことだってできる。だから、演出で急にキャラクターがカットインするような、通常のゲームで使えるストーリーの演出が使えないんです。

イベントが発生するなら『あ! 前から何かが来たぞ!』とセリフで方向を指示したり、ヒロインが重要な言葉を話している時は、ちゃんと主人公の正面に移動させたりする。舞台の演出に近いデザインが求められました。そして、そこの空間で一番重要なものが何かを考えながら演出を設計していくことで、恐怖や驚きといったVRならではの体験を導き出すことができます。

また、特に丁寧に作らなければならないのはイントロダクション。いきなりよく分からない世界にポーンと放り込まれても、VRの世界、ゲームの世界と捉えられてしまう。世界観や設定を最初にイントロで提示していれば、徐々にプレイヤーを誘導することができます」

ゲームの世界に奥行きを与えるため、右目と左目の視差が加味しつつ高い解像度の映像を制作したり、3Dオーディオの技術を採用し、上下左右から音が鳴るようすることで、空間に立体感を生むようにしているのだとか。複雑な技術の組み合わせによって驚きの体験を生み出していますが、今後PSVRの進化によってプレイヤーの体験はどう進化していくのでしょう。

高橋 「ハード面では小型化や軽量化、ワイヤレス化。そしてディスプレイの視野をより広角にすることなどが求められています。でも、ようやくVRが普及してきたので、これからはコンテンツの進化の方が重要。ノンゲームの領域でもPSVRは活躍できるようになるはずです」

秋山 「コンテンツはFPS視点の体験型ゲームのようなものだけではなく、ソーシャルコミュニケーションや、映画のようにストーリー性のある分野で進化を遂げると思います。コンテンツを上手に作ると、プレイヤーはゲームをやっていることを忘れてしまうんです。そこがVRのすごいところ。

そしてPSVRの最大のポテンシャルは、たくさんのPSゲームをVRで遊べるかもしれないということだと思うんです。今までも開発者たちと『皆で良い体験を作っていこう』と一致団結してきました。培ってきた繋がりから、これからも様々なタイトルを生み出していきたいですね」

テクノロジーの進歩は、バーチャルとリアルの境界を曖昧にしていきそうです。

◆ケトルVOL.51(2019年12月17日発売)

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