VRの世界はどこまで広がっていくのか
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PSVRがもたらす没入感のさらに先にある未来とは?

Amazonより
『ケトル VOL.51』 上田文人、原田勝弘、吉田修平、外山圭一郎、後藤禎祐、押切蓮介、米光一成、速水健朗、隅…ほか

2001年に発売された当時、Oval やKen Ishii といった豪華アーティストによる楽曲提供が話題となったPS2版ゲーム『Rez』。音楽ゲームの要素を掛け合わせたこのシューティングゲームは、視覚と聴覚、触覚それぞれが呼応し合うことで、より深い没入感を体験できることが特徴です。

そして2016年、PSVR発売とともに登場した『Rez Infinite』は、『Rez』以上に深い没入感をプレイヤーにもたらしました。これらのシリーズを手がけたのは『スペースチャンネル5』などの音楽ゲームで知られている水口哲也さん。彼はPSVRというデバイスが登場することが決まった瞬間「やりたかったことができる」と翼を得たような気分になったそうです。

「元々すごく音楽が好きで、ゲームをプレイするという感覚が、しだいに音楽を演奏する気持ちよさに変わっていくような、多重的な体験を夢見ていました。そして視覚の効果によって聴覚も研ぎ澄まされ、それぞれの感覚が共鳴し合うような体験がゲームでも生み出せるのではないかと思い、やっと完成したのが『Rez』でした。

ただ、本当に僕が『Rez』でやりたかったのは、もっと深い次元での没入体験。PS2では限界があり、感覚の相互作用によって『音楽を目で見て、映像を聴く』ような気分になるほどの共感覚は得られなかった。しかしPSVRを通してゲームの世界に入り込めるようになったので、より深い没入体験が実現しました。振動を全身で受けるスーツ“シナスタジア・スーツ”を作ったのも、より強い共感覚を得られるようにするためです」

『Rez Infinite』に続き、水口さんは2018年、パズルゲーム・テトリスをVRで表現した『TETRIS EFFECT』をリリース。とにかくVRに力を入れています。それは、彼自身がVRの持つ表現の自由度に魅力を感じているから……というのもありますが、それ以上にVR時代を越えた先の未来にある「予測」をしているからだと言います。

「これから、VRが新たなクリエイション時代の入り口に過ぎなかった、と言われるような時も訪れると思っています。同時に、2Dや四角い画面の時代に作られた、色んな表現や感情移入のテクニックは通用しなくなると思っているんです。

例えば、今はテトリスをVRにすることにあまりピンとこないですよね。『ブロックを3Dにするの?』『目の前にでっかいブロックが落っこちてくるの?』とか考えると思うんです。でもVRが普及することによって逆転し『どうやってブロックを平面で表現するの?』って疑問が生まれることも起こりえます。ただ、テトリスは白黒や8bitでも一貫して面白いゲーム。『TETRIS EFFECT』ではその面白さをVRの時代なりの表現でアップグレードしてみたかったんです」

王道なゲームタイトルをリメイクしたのは、そういう意図があったということ。では、VRにおける新しい表現方法が今後浸透していった先で、プレイステーションの作品はどう変化していくのでしょうか。

「ゲームとはちょっと違うジャンルのクリエイターが、どんどんVRやARのクリエイションをしていくと思います。なぜなら、VR以降のクリエイションになると、既存の“ゲーム”という枠組みやルールにとらわれる必要も無くなっていくはずだからです。

そもそもプレイステーションというブランドは『次はどんなものが来るだろう』とワクワクさせる魅力があるプラットフォーム。今までも色んなジャンルのクリエイターがそのワクワクに引き寄せられて集まっていたので、決まったゲームのルールや常識の存在はあまり感じませんでした。その空気感こそが、様々なコンテンツを増やしていく要素になるのではと思っています」

近い将来のゲーム表現について、「現実と仮想空間の境目が融けていく」と語る水口さん。時代が、テクノロジーがどれだけ進展していくのか、その瞬間に立ち会える幸せを味わえることになりそうです。

◆ケトルVOL.51(2020年12月17日発売)

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