『ケトルVOL.52』(スティーヴン・キング特集/太田出版)
『ケトルVOL.52』(スティーヴン・キング特集/太田出版)
読書・コラム・レポート

「ホラーの帝王」スティーヴン・キングを作り上げた4人の作家たち

Amazonより
『ケトル VOL.52』 ケヴィン・コルシュ、デニス・ウィドマイヤー、曽我部恵一、栗原類、武田砂鉄、永嶋俊一郎…ほか

『キャリー』『シャイニング』『IT』など、数々の名作を世に送り出し、「ホラーの帝王」とも呼ばれるスティーヴン・キング。彼に影響を受けたと公言する作家は枚挙にいとまがありませんが、キング自身もまた、先達に影響を受けて作家になりました。作家になる秘訣を聞かれるたび、「たくさん読み、たくさん書け」と答えているキングは、どんな小説家から影響を受けたのでしょうか? 彼のホラー小説に関わる4人の作家を紹介しましょう。

まずキングの原点といえるのはH・P・ラヴクラフト。太古から存在する邪悪な神々が人間を脅かす「クトゥルフ神話」という神話世界を創造しました。死後も世界観を共有した新作が発表されているほど後世に影響を与えた人物ですが、自身は生涯売れず、三文小説家とされていました。しかし、少年時代のキングは彼の壮大なビジョンに魅了され、ひとつの世界を創造できる作家という職業にあこがれるようになったのです。

それ以来、ペーパーバック小説を貪るように読み始めたキングは、さらに大きな影響を受ける2人の作家に出会います。1人目はリチャード・マシスン。彼は神話や伝承を題材にした古典的なホラー作家とは違い、現代社会の個人が抱える不安をホラーやSFのジャンルで表現することで、後に「モダンホラーの元祖」とも呼ばれた新しいタイプの作家でした。

そして2人目はウィリアム・ゴールディング。孤島に漂流した子供たちが殺し合う小説『蝿の王』で知られるノーベル賞作家です。「子供は善良」という常識を打ち破り、無垢であるがゆえに残酷になる姿を克明に描いた同作に地元の図書館で出会ったキングは衝撃を受け、「閉鎖された状況で善悪の境界が狂っていく物語」を何作も生み出すことになるのです。

彼らの影響によって雑誌に小説を投稿するようになったキングですが、20代になっても芽が出ず、「自分もラヴクラフトのようになるのでは……」という不安を感じていました。しかし、キングには彼を支え続けるパートナーがいました。後に自身も作家になる妻のタビサです。夢を諦めかけていたキングは、彼女の激励とアドバイスによって、超能力に目覚めた少女を主人公にした恐怖小説を完成。これが初の長編小説『キャリー』となり、27歳にして念願の作家デビューを果たしたのでした。

◆ケトルVOL.52(2020年2月16日発売)

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